聖アンソニーの誘惑 ポール・セザンヌ

フランスのポスト印象派の画家、ポール・セザンヌの作品(1887年)です。
聖アンソニーの誘惑は、ミケランジェロ、ヒエロニム・ボッシュ、サルバドール・ダリ、マックス・エルンストなど、多くの画家に描かれた題材です。
セザンヌもこのテーマで3枚の絵画を描いており、本作はその中で、セザンヌが最後に描いたものです。
それでは具体的に観て行きましょう。
絵の中央に配置された女性は、誇らしげなジェスチャーをしています。この女性は、悪魔が姿を変えたもので、聖アンソニーを誘惑しています。
左側には本物の悪魔が描かれています。この悪魔は、二重の役割を果たしているように見えます。悪魔は聖アンソニーを誘惑しているだけでなく、逆説的に聖アンソニーがしがみついている保護者であるようにも見えます。
オルセー美術館所蔵
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2+

ガシェ医師の家 ポール・セザンヌ

フランスのポスト印象派の画家、ポール・セザンヌの作品です。
セザンヌは、1873年当時、オーヴェルで一緒に仕事をしていた師カミーユ・ピサロの影響を受け、直接、自然を描くようになると共に、色彩も豊かになっていきました。
しかし、他の印象派が好んで描いたような軽やかなタッチの絵ではなかった為、批評家たちの評価を得る事はできませんでした。
しかし、セザンヌ独特の構造へのこだわりが見られ、平面的な構図と短い平行な筆致で描いた本作は、20世紀初頭のパブロ・ピカソによるキュビスムの発展を促し、批評家の評価を完全に覆すこととなります。
当時ピサロは「私が望むように、もし彼(セザンヌ)がオーヴェルに暫く滞在すれば、彼を非難することを急いでいた多くの批評家たちを驚かせることになるだろう」とコメントしています。
オルセー美術館所蔵。
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2+

現代のオリンピア ポール・セザンヌ

フランスのポスト印象派の画家、ポール・セザンヌの作品です。
本作はセザンヌの同名作品の2作目です。1作目の作品(セザンヌの初期の作品)は、暗い色彩で描かれていました。

    現代のオリンピア(1作目)

しかし、本作は光り輝くまばゆい色彩と華麗な演出で描かれています。この頃、セザンヌの作風は印象派に向かっていました。
黒人の召使いにさらわれた女性の裸体と、女性を観客のように見ている黒衣の男の優雅な服装のコントラストが、観る者にエロティックで芝居じみた印象を与えます。絵の左側に垂れ下がっているカーテンの存在により、芝居じみた印象は、更に強調されています。
オルセー美術館所蔵。
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2+

ギュスターヴ・ジェフロワの肖像 ポール・セザンヌ

フランスのポスト印象派の画家、ポール・セザンヌの作品です。
本作は、ジャーナリストで文筆家のギュスターヴ・ジェフロワを描いた作品で、画面の連帯的統一性が素晴らしい作品と言われます。因みに、ギュスターヴ・ジェフロワは、ゴッホが生きている間に唯一売れた作品を購入した女性の弟だそうです。
それでは具体的に観て行きましょう。
椅子に腰掛け、仕事机に両手を乗せながら執筆中のギュスターヴ・ジェフロワが描かれています。画面の左側には薔薇が挿された花瓶とロダンの彫刻が置かれています。さらにギュスターヴ・ジェフロワの背後には本棚に秩序正しく並べられた幾数もの本が置かれており、文筆家として知識が豊富であることを伺わせます。
本作を観る者の視線は、まず手前(画面下部)の仕事机に置かれる書物や小物に向けられ、そこから両手をハの字に広げたギュスターヴ・ジェフロワの姿と顔面へ、そして斜めに配された椅子を経由して背後の本棚へと誘導されます。
この自然な視線の誘導こそ、セザンヌが本作に込めた仕掛けであり、垂直が強調された画家独特の堅牢性と共に、画面の連帯的統一性が素晴らしい作品です。
オルセー美術館所蔵。
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2+

女とコーヒーポット ポール・セザンヌ

フランスのポスト印象派の画家、ポール・セザンヌの作品です。
本作に描かれている、コーヒーポットやカップには「自然を円柱、球、円錐によって扱い表現すべきである」というセザンヌの信念が表現されています。
それでは具体的に観て行きましょう。
青色の清潔な衣服を着た家政婦が正面を向いて座っています。堅固に整えられた髪形が特徴的な家政婦の表情は労働者階級とは思えないほど威厳があります。また家政婦の身体の中心には衣服の襞が垂直線となって描かれており、背後の壁や画面右側に配されるコーヒーポット、カップに挿されるスプーンと共に本作の垂直性を強調しています。
そして家政婦の身体を構成する円錐形や、コーヒーポットやカップの円柱形には、セザンヌが友人エミール・ベルナールと交わした手紙で記した「自然を円柱、球、円錐によって扱い表現すべきである」という信念が表現されています。
オルセー美術館所蔵。
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3+

水浴の男たち ポール・セザンヌ

フランスのポスト印象派の画家、ポール・セザンヌの作品です。
本作は、セザンヌが手がけた男性水浴図の代表作で、セザンヌの入浴画は、人間の姿と風景の完全な融合を目指していたと言われます。
それでは具体的に観て行きましょう。
画面中央には白布を持ちながら直立する裸体の男性が配され、その左側には大地に腰を下ろす男が描かれています。
画面の両端に描かれる男性の内側に傾けられた姿態と、背を向けながら直立する2人の男性、そして画面奥中央で垂直に立つ一本の樹木によって形成される三角形の構図。さらに中景に描かれた水浴に興じる多くの男性の躍動的な姿、近景・遠景の差異を殆ど感じさせない平面的構成にセザンヌ絵画の特徴が良く表れています。
セザンヌは、緻密に計算された構図と色彩により、人間と風景の完全な融合を図ったのでした。
オルセー美術館所蔵。
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3+

台所のテーブル ポール・セザンヌ

フランスのポスト印象派の画家、ポール・セザンヌの傑作のひとつです。
本作と、ほぼ同時期に制作された「リンゴとオレンジ」と共に、セザンヌ静物画の頂点を示す作品と言われています。

       リンゴとオレンジ

それでは具体的に観て行きましょう。
林檎や梨などの果物、白布、水差し、砂糖壷、瓶、籠、木机など台所に置かれる様々な静物で構成された作品で、セザンヌの作品の中でも、特に複雑で分断的な空間構成になっていると言われます。
主対象となるテーブルとその上の静物は全体的にやや左へ傾くように描かれている他、白布に覆われた木机の形状にも矛盾が生じているなど、正確性よりも、対象そのものの存在感や個としての形態表現、絵画としての調和性が重要視されています。
特に対象の形状や色彩のみに要点を絞って描写される梨などの果物、斜めに大きく傾いた水差しや砂糖壷、他の静物と比較し明らかに高い視点で描かれる瓶などが、セザンヌ静物画の特徴と言えるでしょう。
セザンヌは、以前は、どちらかと言うとなおざりにされていた静物画の価値を一気に高めただけでなく、この革新的な対象表現により、ピカソを始めとした後世の画家たちに多大な影響を与えました。
オルセー美術館所蔵。
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2+

青い花瓶 ポール・セザンヌ

フランスのポスト印象派の画家、ポール・セザンヌの作品です。
本作は、花が入れられた青い花瓶を中心に皿や林檎らしき果物などで構成される静物画です。簡素ながらも、セザンヌにより計算し尽くされた完成度が高い静物の構成は、観る者を感動させます。
それでは具体的に観て行きましょう。
画面中央やや下方に斜線を引き、右側の窓枠を少し左に傾けています。それに対応するかのように花瓶を同じく左傾させる一方、下端のテーブルの水平線を目立たせ、3個の果実と花瓶の底が揃えて置かれています。
花瓶の背景には白い皿を置き、際立たせ、花の赤、白と葉の緑が対称的です。このリズミカルな構図が青い花瓶を呼吸させ、絵具は平らに塗られながら空気と光を生き生きと滲ませています。
セザンヌにより計算し尽くされ、すべてが生きているような静物画です。
オルセー美術館所蔵。
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3+

マンシーの橋 ポール・セザンヌ

フランスのポスト印象派の画家、ポール・セザンヌの1870年代後期を代表する風景画作品のひとつです。パリ南東部のアルモン川に架かるマンシー橋の情景を描いたもので、古典的な牧歌的風景と印象派の色彩感覚が融合した作品です。
<MAP> Pont De Maincyがマンシー橋の架かっている場所です。

それでは具体的に観て行きましょう。
画面中央に水平に描かれるマンシーの橋は、安定と秩序をもたらす効果があり、観る者に、落ち着きと安心感を与えます。
前景に配される細く長い樹木は、平面的空間の中で、観る者の視線を中景のマンシー橋へと向けさせます。さらに、この前景の樹木と呼応する画面右側の樹木群は、マンシー橋の水平と呼応した垂直を生み出しています。
また緑々とした木々の葉の美しい色彩が、作品に自然で均衡な調和性をも生み出しています。古典的な牧歌的風景と印象派の色彩感覚が見事に融合した作品です。
オルセー美術館所蔵。
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3+