胸をはだけたブロンドの娘 エドゥアール・マネ



印象派の創設に影響を与え近代美術の父とも呼ばれる、フランス画家エドゥアール・マネの作品(1878年頃)です。マネの代表作「オランピア」以降に制作された7点の裸婦作品の中の1点で、胸部がはだけた女性の半身像を画題に描かれた作品です。
それでは具体的に観て行きましょう。
画面中央でケシの花飾りの付いた麦藁帽子を被る娘は、空虚な表情を浮かべながらぼんやりと左側を向いています。その顔には緊張の色はもとより、他のマネの作品に見られる女性の生命感が全く感じられません。これは頭痛や脚の痺れなど体調に変化の兆しが見え始めたマネが、己の行く末を想う複雑な心境が投影されていたと言われます。
一方、画面下部の半分以上を占める娘の豊潤な姿態や、はだけた胸部の柔らかな曲線には女性としての官能性やマネの絵画に対する挑戦を見出すことができます。
更に本作は油彩を用いながらも、別の素材として松精油を混合させていることが知られており、その薄塗り効果はあたかも水彩のような表情を生み出しています。この他素材を混合する描写手法は晩年のマネの作品の特徴で、その中でも本作は秀逸な出来栄えを示しています。
他にも若い娘の黄色味を帯びた肌色や麦藁帽子に装飾される赤々としたケシの花と、背景に使用されるややくすみを帯びた緑色との色彩の対比などにマネの創意と才能を感じることができます。
オルセー美術館所蔵
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