瓶とグラス、フォーク パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソの分析的キュビスムの時代(※1)の代表作のひとつです。
それでは具体的に観て行きましょう。
ピカソは、平面形で静物画を描写する試みとして、「瓶とグラス、フォーク」を制作したといわれます。
作品は、平面形(楕円形のみ)の合成で表現されています。色は鮮やかな色彩は避け、茶色・灰色・黒色・白色といった単色の色彩に限定されています。
また、ピカソは遠近法を用いず、平面形が重なりあう部分や色彩のコントラストによる陰影で遠近感を表しました。
アメリカのクリーブランド美術館所蔵
※1:分析的キュビスムの時代(1908年 – 1912年):プロトキュビスムの時代(1908年 – 1909年)から更に分析が進み、対象が徹底的に分解され、何が描かれているのか識別することが困難なところにまで進んでいきました。
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アイロンをかける女性 パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソの「青青の時代(※1)」の作品です。青の時代では、社会的疎外の孤独感や絶望感を主題とし、社会の底辺に生きる人々を描きました。
それでは具体的に観て行きましょう。
アイロンをかけている痩せ衰えた女性を描いています。
青と灰色で塗らた薄暗い洗濯屋の中で、薄い粗末なワンピース姿の女性が、自分の体重をかけてテーブル上の洗濯物にアイロンがけしています。髪の毛はアイロンの上に垂れています。肉体労働だというのに、女性の身体や腕は細く、目や頬も痩せこけて窪み、不幸にじっと耐えてうなだれているかのようです。
ピカソは女性を特定の場所・時間から切り離し、人物を特定しないことで、貧困、孤独、苦労を表現しました。ピカソが22歳の時に描いた作品です。
ニューヨークのソロモン・R・グッゲンハイム美術館所蔵
※1:青の時代(1901年 – 1904年):ピカソが19歳のとき、親友のカサヘマスが自殺したことに大きなショックを受け、鬱屈した心象を、無機顔料の青を基調に使い、盲人、娼婦、乞食など社会の底辺に生きる人々を題材にした作品を多く描いた時代。
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役者 パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソの「バラ色の時代」の作品です。当時のピカソには金銭的な余裕がなく、新しいキャンバスを購入できなかった為、他の画家が描いた作品の裏側を使用して制作されました。
現在価値で、100億円を超えると言われていますが、2010年、メトロポリタン美術館内で女性が転び、絵を破損させてしまったことがありました。
それでは観て行きましょう。
戯曲のポーズをした曲芸師が描かれています。曲芸師はグレーがかったピ ンク色の衣装を身にまとっています。
ピカソの「青の時代」から「バラ色の時代」への移行を示す作品で、これでも「青の時代」の作品に比べ、明るい色調でロマンチックな作風となっています。
ピカソが23歳の時に描いた作品です。
ニューヨークのメトロポリタン美術館所蔵
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質素な食卓 パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソの青の時代の作品です。
ピカソの制作した中で最も有名な版画と言われています。
それでは観て行きましょう。
夫婦と思われる痩せ細った男性と、くたびれたような表情の女性が、ワインボトルと少量のパンのみあるテーブルに並んで肩を座っています。
この作品はピカソが版画家としてのキャリアを築きはじめたばかりの頃に描かれたもので、当時のピカソのテーマである落胆と孤独がよく表れています。
宮城県美術館所蔵
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夢見る人 パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソのシュルレアリスム時代の作品です。ピカソの愛人だったマリー・テレーズの寝ている姿を曲線と鮮やかな濃い色調で描かれています。
曲線の描写により、マリー・テレーズの官能的な肉体が表現されています。彼女の頬は赤らみ、ブロンドの髪をなびかせながら頭を後ろに傾け、夢うつつです。
ニューヨークのメトロポリタン美術館所蔵。
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果物皿と水差し パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソの総合的キュビズム時代の作品です。
総合的キュビズム時代の作品は、分解された対象を平面的に再構築しています。単調な色彩の分析的キュビズム時代の作品とは異なり、装飾的で色彩豊かです。
それでは具体的に観て行きましょう。
テーブルの上に水差しや果物皿と果物が鮮やかな色彩で描かれています。テーブル、水差し、果物皿と果物は、波頭に乗って前方に押し出されるかのように表現されています。
作品の空間表現は、計算された遠近法による構成ではなく、対象の色遣いと形状の相互関係により成立しています。
鮮やかな色彩の対象とシンプルな背景により、対象が浮き出て見える効果があります。また、果物皿と水差しが離れて見える錯覚が生じます。
ニューヨークのソロモン・R・グッゲンハイム美術館所蔵。
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7月14日 パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソの作品です。
ピカソが20歳の時に描いたものです。
それでは具体的に観て行きましょう。
本作は、祝祭にて花火が打ち上げられ、群衆は歓喜の声をあげて祝祭を歓迎する様子を描いています。ピカソは、群衆の描写にあたり、左右を対比的に描いています。
右側の群衆は、赤色と青色の調和によって表現され、個々の描写はないに等しく、くさび形で描かれています。
一方、左側の群衆は、白色、黄色、緑色、ピンク色、淡青色の色彩を用いて描写され、顔の輪郭は黒色の太線にて縁取られています。
また、作品の創り出す空間は「動」であり、人物が高速で動いているように描かれています。左側前方の群衆は見る側に対して向かってくる迫力があります。
ニューヨークのソロモン・R・グッゲンハイム美術館所蔵。
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海辺の人物 パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソのシュルレアリスム時代の作品です。
本作は、愛人マリー・テレーズと過ごしたバカンスの一場面を描いています。ピカソとマリー・テレーズは浜辺でキスをしています。
奇怪な姿の二人は、生物の起源となる太古の原形質に見え、浜辺に漂着したような姿で描写されています。
頭は、カマキリのように見えます。メスのカマキリは後尾後にオスを食べますが、その屈折した概念は生と死のパラドックスに関する視覚的メタファーであると言われます。
パリのピカソ美術館所蔵。
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詩人 パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソの分析的キュビスム時代の作品です。本作は、1911年夏フランス・ピレネー山脈の麓セレにて制作されました。
分析的キュビズム時代の作品は対象を断片的に分解し、三次元から二次元へと再構築する為、抽象的な作風となっています。
それでは具体的に観て行きましょう。
本作では、詩人を視覚的に分解し、直線・曲線で囲まれた図形にて再構築され、キャンバス中央にあるピラミッド形が密に連なった図形にて表現されています。
キャンバス中央上部には、三角形の頂点が貫通した小さな丸形がありますが、これが詩人の目です。また、細長く、幅広い図形は鼻であり、三日月形の図形は口髭です。
キャンバス中央にて目、鼻、口髭が認識できると、顎、パイプ、首、痩せ細った胴体、肘、肘掛け椅子が見えてきます。
ニューヨークのソロモン・R・グッゲンハイム美術館所蔵。
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