モーゼ像 ミケランジェロ・ブオナローティ



盛期ルネサンスの三大巨匠の一人、 ミケランジェロ・ブオナローティの作品(1515年頃)です。ミケランジェロは、このモーゼ像を自分の最も生き生きとした作品と感じており、完成した際には、「さあ、話せ!」と言って膝を叩いたと言われています。
それでは具体的に観て行きましょう。
モーゼは深い襞のある衣を身にまとい、その布は大理石ではなく麻であるかのように脚にまとわりついています。腕や手には腱や静脈が目に見えて張り巡らされ、筋骨隆々とした体の強さが感じられ、全能性を示す豊かな髭を持ち、右足を地に着け、左足をそのつま先が地に触れる程度に浮かせています。また、右手は髭に触れながら十戒を抱き、左手も膝の上で髭を撫でています。
ヴァザーリはモーゼ像の顔の美しさを賞賛し、「十戒を授かったときの神性を表している」と述べています。また、フロイトは、動きをテクニックで表した他の彫刻家作品とは一線を画しており、2本の角とともにモーゼの豊かな髭を撫でる仕草や髪のうねりが、見る者に「知的な驚き」を与え、考えさせるような作品だと評しました。
そして、モーゼ像の2本の角が特徴的です。出エジプト記にあるように、シナイ山から降りてきたモーゼは、人々が金の牛を崇拝しているのを見て激怒しましたが、そのときの怒りをこの2本の角は表しています。しかし、11世紀あたりからユダヤ人の社会的地位が変わるとともに、この角の解釈にも変更が加えられました。ユダヤ人が悪魔と結びつけられると、ユダヤ人であるモーゼの頭に生える角も、悪魔を象徴するものだと解釈されるようになりました。
バチカンのサン・ピエトロ教会所蔵。
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