ヒナ・テ・ファトゥ(月と大地) ポール・ゴーギャン



フランスのポスト印象派の画家、ポール・ゴーギャンの第一次タヒチ滞在中の作品(1893年)です。
本作は、タヒチのマリオ族に伝わる古代ポリネシアの神話「月の神ヒナと大地の神ファトゥ」の風習を基に制作されたと言われています。
「月の神ヒナと大地の神ファトゥ」とは月の神ヒナが必ず死が訪れる哀れな人間が再度、生を受けられるように大地の神ファトゥへ懇願するものの、ファトゥがその願いを拒否するという逸話です。
それでは具体的に観て行きましょう。
背を向けた裸体の全身像の月の神ヒナは、画面右上の彫刻のような大地の神ファトゥへすがるように人間の生(生き返り)を懇願しています。大地の神ファトゥは月の神ヒナと視線を交わすことなく厳しい表情を浮かべており、ヒナの懇願を拒絶していることは一目瞭然です。
太く明確な輪郭線に囲まれた面を平面的に描写し、月の神ヒナの明瞭な褐色的肌色と大地の神ファトゥの暗く沈んだ黒色に近い肌の色の対比と、ファトゥの下に描かれる鮮やかな緑色の植物とそのさらに下の毒々しさすら感じさせる濃密な水溜りの赤色の対比は、観る者を幻覚的で夢想的な感覚にさせます。
ニューヨーク近代美術館所蔵
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