ハムのある静物 ポール・ゴーギャン

フランスのポスト印象派の画家、ポール・ゴーギャンの作品(1889年)です。
ゴーギャンが描いた静物画の中で最も有名な作品です。
それでは具体的に観て行きましょう。
金属の平皿に置かれたハムやニンニク、ワイングラスが描かれています。中央に描かれる銀色の皿に配される巨大なハムの塊は、皿の金属と対比するかのように生物性を感じさせる強烈な色彩で描写されており、その存在感は単純化された色彩により強調されています。
さらにハムが置かれるテーブルを支える細い柱が、(まるで宙に浮いているかのような)不安定感を本作に与えています。これは、ゴーギャン自身の不安定な心情が表現されていると言われています。
また他の静物画と比較しあまりにも単純な背景の処理や、そこへ加えられた3本の縦文様に、ゴーギャンの画才が表れています。
ワシントンDCのフィリップス・コレクション所蔵
<MAP>

レ・ローヴの庭 ポール・セザンヌ

フランスのポスト印象派の画家、ポール・セザンヌの晩年の作品(1906年)です。
セザンヌの自然に対する深い感情を、抽象的な色彩の連なりで表現した作品です。
本作では構造的な堅固さと構図の調和が共鳴しています。セザンヌは「地平線に平行な線は幅を与え、自然の一断面を表現する。 地平線に垂直な線は奥行きを与える。しかし、自然はその表情よりも深さがある。」と述べています。
また、セザンヌは、ティツィアーノ、レンブラント、ルーベンスの「崇高な妥協」と呼ばれるものについて語ったことがあります。最終的には、セザンヌもこの妥協点に到達するのですが、全く違った新しい方法での到達でした。
それが本作で、セザンヌは自然に対する深い感情を、はるか後の時代の抽象芸術を先取りしているように思えるほど抽象的な色彩の連なりで表現しています。
ワシントンDCのフィリップス・コレクション所蔵
<MAP>

青い部屋 パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソの青の時代(※1)の作品です。
女性が寝室で入浴する様子が描かれています。壁にはパリで活躍した、ロートレックのメイ・ミルトンのポスターが貼られています。
また、X線調査をしたところ、作品の下に別の絵が隠されていることが判明しました。なんと、それは男性の肖像画でした。

隠されていた、男性の肖像画

ピカソは、思いついたことは、すぐに形にしたかったが、当時は貧しく、カンバスも高くて思うように購入できなかった為、1枚のカンバスに重ねて絵を描いたようです。
※1:青の時代(1901年 – 1904年):ピカソが19歳のとき、親友のカサヘマスが自殺したことに大きなショックを受け、鬱屈した心象を、無機顔料の青を基調に使い、盲人、娼婦、乞食など社会の底辺に生きる人々を題材にした作品を多く描いた時代。
ワシントンDCのフィリップス・コレクション所蔵。
<MAP>

自画像:イーゼルの前の画家 オノレ・ドーミエ

19世紀フランス画家、オノレ・ドーミエの作品です。
ドーミエは風刺版画家として知られるとともに、油彩画家としても印象派や表現主義の絵画を先取りし、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック、フィンセント・ファン・ゴッホなど、後世の画家に影響を与えた画家です。
それでは具体的に観て行きましょう。
光と明暗の効果が素晴らしい。頭部から体側にまとわりつく斜め上からの光。絵の周辺に映る白い影。画家を照らし出し輪郭をかたどる光は聖人の光輪を思わせ、観るものに孤高の芸術家をイメージさせます。
ワシントンDCのフィリップス・コレクション所蔵。
<MAP>

自画像 ポール・セザンヌ

フランスのポスト印象派の画家、ポール・セザンヌの作品です。
セザンヌは生涯にわたって自画像を25点描きました。
同時代の画家たちの自画像のほとんどは、心理的観点からの自己分析の作品と言えます。しかしセザンヌは、自分自身ですら一つの素材として作品を描きました。
ワシントンのフィリップス・コレクション所蔵。
<MAP>

Copyrighted Image