バラと銀色:陶磁の国の姫君 ホイッスラー

19世紀アメリカ生まれの画家、ジェイムズ・アボット・マクニール・ホイッスラーの作品です。日本趣味的要素が強く示された代表的な作品のひとつです。
ホイッスラーは自らの絵に背景となる物語や寓意を与えることを嫌い、あくまで色や形態の調和を追求しました。
それでは具体的に観て行きましょう。
日本もしくは中国の調度品に囲まれて、うちわを手に着物姿で立つ西洋の女性を描いた作品です。女性の表情はどこか物憂げです。ホイッスラーは額も絵に合わせて自らデザインしました。
画面全体は黄色味が支配しつつも、床面の緑色や茣蓙・着物の深い藍色、腰帯や屏風に描かれる鳥の朱色など混在となる色彩の調和と統一感は見る者に強烈な印象を与えます。
ワシントンDCのフリーア美術館所蔵。
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青と金のノクターン:オールド・バタシー・ブリッジ ホイッスラー

19世紀後半のアメリカ画家、ジェームズ・アボット・マクニール・ホイッスラーの作品です。ホイッスラーは、日本美術(浮世絵)の色調や画面構成などにを取り入れ、同時代の印象派とも一線を画した、絵画を描きました。
それでは具体的に観て行きましょう。
ロンドンのテムズ川に架かるバターシー橋を描いたものです。ノクターン(夜想曲)を思わせる青の階調のなかに僅かに点じられた金色は花火です。
川に浮かぶ船から見たような視点、T字型の構図、珠江の船頭や川岸、家並みのシルエットなどには、浮世絵の画面構成が取り入れられています。
ロンドンのテート・ブリテン所蔵。
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灰色と黒のアレンジメント 第1番 画家の母の肖像 ホイッスラー

19世紀後半のアメリカ画家、ジェームズ・アボット・マクニール・ホイッスラーの代表作です。この作品名は、ホイッスラーが本作で示した色彩の調和を強調するため、音楽用語を用い名付けたものです。
それでは具体的に観て行きましょう。
本作はホイッスラー自身の母を描いたものです、ホイッスラーは絵画の中にストーリーや思想、喜怒哀楽を持ち込むことを好まず、絵画は絵画自身が語るべきだと主張しました。しかし、本作からは、苦労して自分を育ててくれた母への愛情が滲み出ています。
オルセー美術館所蔵。
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白のシンフォニー ホイッスラー

19世紀後半のアメリカ画家、ジェームズ・アボット・マクニール・ホイッスラーの代表作です。ホイッスラーは、日本美術(浮世絵)の色調や画面構成などにを取り入れ、同時代の印象派とも一線を画した、絵画を描きました。
それでは具体的に観て行きましょう。
日本の扇を持った白衣の女性が暖炉の上に置かれた磁器をじっと見つめています。モデルが着ている白いモスリン風の衣服からは、透明感や空気感などの質感が伝わってきます。当時好まれたヴィクトリア朝のモティーフを画題としながらも、日本風の団扇や朱色の碗、白磁の壷などには日本美術の要素が配された作品です。
画面右下の花は、全体を描かず、その一部が偶然、画面に割り込んで来たかのような構図となっています。このような構図は浮世絵版画を参考にしたと考えられます。
ロンドンのテート・ブリテン所蔵。
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