瞑想する哲学者

大画面と、光と影の明暗を明確にする技法を得意とした画家、レンブラント・ファン・レインの作品です。制作年は1632年。 レンブラントは、同じオランダのフェルメール、イタリアのカラヴァッジョ、フランドルのルーベンス、スペインのベラスケスなどと共に、バロック絵画を代表する画家の一人です。
部屋の奥まったところに瞑想する老人が小さく描かれ、その前には閉じた書物が置かれています。階段をはさんでこちら側にいる召使の周囲には日常的な用具が描かれています。こちら側が世俗的な世界を表し、超越的な光をもたらす窓のそばで瞑想する老人の姿は、知性の世界の象徴です。
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4+

合奏

17世紀フランスに生まれたバロック絵画の巨匠 カラヴァッジョを始祖とする カラヴァッジェスキ一派を代表するヴァランタン・ド・ブーローニュの傑作です。
古代の浮彫を囲み、若い男女が合奏する場面を描いた風俗画で、ヴァランタン・ド・ブーローニュは、「合奏」を主題とした作品を複数枚手がけています。 本作品はその中でも代表作と評されているもので、カラヴァッジェスキー派様式の厳しく深い明暗対比や劇的な光と影の表現、高度な自然主義的写実描写が示されています。 音楽という主題や、画面右端で観る者の方を向きながら羽根帽子の男が手にするリュート(中世から16~17世紀にかけてヨーロッパで広く用いられた撥弦楽器)は、カラヴァッジョが初期に手がけた「リュートを弾く若者」などと共通する風俗的モティーフであるほか、隣でギターを奏でる若い女性の顔は、「アレクサンドリアの聖カタリナ」などカラヴァッジョが描く特徴的な女性像の面影を感じさせます。
また画面手前や奥で酒の飲む騎士や子供、画面左端でヴァイオリンを弾く若い男や中央で楽譜を捲る男、それを片肘をつき憂鬱そうに聞く幼子など「合奏」の場面の中に様々な動作・表情によって各々の人間性や感情を感じさせる巧みな描写が、本作品の特筆すべき点のひとつと評されています。
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4+

大工の聖ヨセフ

「大工の聖ヨセフ」とはキリストの父ヨセフのことです。右側の子供は少年イエス・キリストであり、ヨセフが細工している角材は、やがてイエス・キリストが架けられる十字架を暗示しています。
画面の大部分を占める漆黒の聞から、ろうそくの明かりが父子の姿を浮かび上がらせています。少年の無邪気そうな顔や、炎にかざして赤く透けた無垢な手に比べ、わが子の将来を予感したのだろうか、ヨセフの深刻そうな額の披や力のこもった腕が対照的です。ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの作品。
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3+

洗礼者聖ヨハネ

作者のレオナルド・ダ・ヴィンチは晩年、フランソワ一世の招きによりローマを去り、フランスのクロ・リュセ城で過ごします。この時に携えてきたのが、本作と「モナ・リザ」、「聖アンナと聖母子」の3作品です。この3作品はダ・ヴィンチのお気に入りで、生涯手元に置き、手放しませんでした。
洗礼者聖ヨハネのモナリザを思わせる端正な顔立ちと微笑みは、ダ・ヴィンチが寵愛していた弟子ジャン・ジャコモ・カプロッティ(通称サライ)をモデルにしたと言われています。 本作を始め、ダ・ヴィンチ作品によくみられる、この天に向け人差し指を指すポーズは、天からの救世主キリストの到来を予告し、道を平らかにするよう悔悛を説いてると解釈されています。
ヨルダン川でキリストの洗礼を行なった者とされる洗礼者聖ヨハネは、都市生活から離別し、神の審判が迫ることを説き、人々に悔い改めの証として洗礼を施しますが、ヘロデ王の娘サロメの願いにより斬首刑に処されました。
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5+

聖アンナと聖母子

レオナルド・ダ・ヴィンチが1508年ごろに描いた絵画です。
聖マリアが母親のアンナの膝の上に座り、幼児キリストに手を延ばしています。キリストは将来遭遇する受難の象徴である生贄の子羊と戯れていますが、マリアはそれを制止しようとして手を延ばしているように見えます。 マリアとキリストとが視線を交し合う一方で、アンナのほうはマリアの様子を伺っている、という様に視線を通じて人物と絵にリズミカルな動きが生まれています。
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5+

モナ・リザ

イタリアの美術家レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた油彩画。上半身のみが描かれた女性の肖像画で、「世界でもっとも知られた、もっとも見られた、もっとも書かれた、もっとも歌われた、もっともパロディ作品が作られた美術作品」と言われています。
「モナ・リザ」は、1911年ルーブル美術館から一度、盗まれた事があります。当初、ルーブル美術館など「燃えてしまえ」と言い放ったことがあるフランスの詩人ギヨーム・アポリネールに盗難の容疑がかかり、逮捕、投獄されます。このときアポリネールは友人だったパブロ・ピカソに助けを求めようとしましたが、ピカソも事件への関与が疑われ、尋問のために警察へと連行されました。結局、両者共に無実だと判り釈放されました。
事件発生から2年後、かつてルーブル美術館に雇われたことがあるイタリア人ビンセンツォ・ペルージャが真犯人であることが判明します。ペルージャはイタリア愛国者であり、イタリア人レオナルドの作品はイタリアの美術館に収蔵されるべきだと信じていたと言われます。 ペルージャは、フィレンツェのウフィツィ美術館館長に「モナ・リザ」を売却しようとして逮捕されました。イタリアに持ち込まれていた「モナ・リザ」は、そのままイタリア中で巡回展示された後、1913年にルーブル美術館に返却されました。
ペルージャはイタリアで裁判にかけられましたが、愛国者であると賞賛され、投獄されたのは僅か6か月だったそうです。
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7+

アモルの行進

アントワーヌ・カロンは、16世紀後半の第二次フォンテーヌフロー派を代表する画家です。
この作品は、ディアナ神殿(月の女神ディアナに捧げて建立された神殿。ポルトガルのエボラにあります)に向かうキューピッドの葬列で、 キューピッドのグループにプレアデスの詩人(ギリシャ神話に登場する7姉妹)がついていってます。
神話的な幻想性とある種のユーモアをたたえた特異な魅力に富む作品と評価されています。
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4+

両替商とその妻

この作品の場面は、中世的な雰囲気が残る16世紀初期のフランドルの両替商の屋内です。厚い緑色のカバーを敷いたテーブルの前で、暖かそうな服を着て被りものをした両替商が天秤で金貨を図っています。その横では瀟洒な身なりをした妻が時祷書のページをめくる手を止めて夫の手先を見つめています。
二人の画面に対して平行に、三角形を形作るかのように寄り添い、左右対称に配置されており、それが手前テーブルの水平線、そして背景のモティーフの水平、垂直の線とともに画面に安定感を生み出しています。色彩は、夫の服と妻の襟と袖口の毛皮の灰色がかった青が、また妻の服と夫のシャツの袖口の赤が呼応しており、同様に二人の被っているオリーヴ色と茶色の帽子もテーブル・カバーと背景の戸棚の色と呼応しています。
両替商の妻は、まるで時祷書の言葉や聖母子の細密画より現世の財物に注意を奪われているように見え、そこに道徳的批判の精神を読みとることが出来ます。 この作品の最初の額縁には「汝、正しい天秤、正しい重りを用いるべし」という、聖書の一節が刻まれていて、両替商の不正の警告になっていました。
ウェンティン・マセイスは16世紀前半のネーデルランド絵画を代表する画家で、こうした風刺のきいた風俗画の新境地を開きました。
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4+

バルダッサーレ・カスティリオーネの肖像

この絵のモデルは、署名な人文主義者バルダッサーレ・カスティリオーネです。北イタリアのマントヴァ出身で、人間の理想の姿について記した「廷臣論」が有名です。
この絵が描かれた頃、ラファエッロはサン・ピエトロ大聖堂の造営主任や古代遺跡発掘監督官に任命されるなど、絵画・壁画装飾からさらに活躍の範囲を広げており、 バルダッサーレ・カスティリオーネ とも親交があったようです。 この作品の組んだ手や口元からは理性や抑制が感じられます。黒を基調とした服装からは品格が、そして目からは意思と相手への尊重が伝わってくるようです。これらは作者がモデルの人格をよく理解しているから描けたのではないかと言われています。 この作品のモデルの角度や黒を中心にした配色は、ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」を下敷きにしています。
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3+