ラヴェルの横顔と静物 ポール・ゴーギャン

フランスのポスト印象派の画家、ポール・ゴーギャンの作品(1886年)です。
ゴーギャンの友人のシャルル・ラヴェルの横顔と、ゴーギャン自身で作った陶器の壺を含む動きのない物体が描かれています。ゴーギャンは自身の製作した陶器の「怪物」を構図に挿入し、ラヴェルがそれを吟味しています。
肖像画と静物の組み合わせからは、ゴーギャンのアーティスト・芸術品をうまく取り入れる能力の高さが見て取れます。またラヴェルの顔が不意に切り取られているのは、エドガー・ドガに対する賛美で、ドガの中心からそらし不自然に切り取る構成を取り入れています。静物の配置とフルーツの中の筆跡を同方向に向ける描き方は、ポール・セザンヌ独特の描き方です。
アメリカのインディアナポリス美術館所蔵。
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アルルのコテージ ポール・ゴーギャン

フランスのポスト印象派の画家、ポール・ゴーギャンの作品(1888年)です。
フランスはプロヴァンスのアルルに広がる田舎の風景を描いた作品です。ゴーギャンがアルルでヴィンセント・ヴァン・ゴッホと共に生活し、創作に励んでいた短い二ヶ月の間に制作されたものです。
それでは具体的に観て行きましょう。
「マス」と呼ばれる伝統的な農家と、その地域特有のヒノキの木が描かれています。真ん中辺りに描かれている干し草の山は作物の収穫時であることを示しています。
ゴーギャンがこの主題を選んだ当時、ポール・セザンヌを崇拝しており、絵画にも大きな影響を受けていました。ゴーギャンはセザンヌの手法を参考とし、幾何学的な形状に重点を置いて作品を描きました。絵の中に細かく配置された筆跡は、干し草と農家を囲い、ゴーギャンなりの秩序を作り出しています。
アメリカのインディアナポリス美術館所蔵。
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崖の上のフラジェレ演奏者者 ポール・ゴーギャン

フランスのポスト印象派の画家、ポール・ゴーギャンの作品(1889年)です。
本作はブルターニュ地方の険しい海岸を、目まぐるしい天上からの視点で描いたパノラマビューの作品です。ゴーギャンは目に写った景色を、ゴーギャン自身が生み出したポン=タヴァン派綜合主義(※1)という手法を用いて、この作品を描きました。
それでは具体的に観て行きましょう。
崖道の上で大西洋を見下ろす男女2人が描かれています。この作品に描かれているのは、ブリターニュ地方のクロアール=カルノアという村の風景です。2人の内、女性の方は小麦を収穫するための鎌を持っており、男性の方はその地域の伝統的なフルートであるフラジェレを演奏しています。鎌そしてフルートは、ゴーギャンのブルターニュの平和な日常生活に対する深き愛着を表しています。
ゴーギャンの独特な視点と、鮮やかな色のパッチワークによって、どことなく視覚的で刺激的な絵に仕上げられています。しかし、この作品に描かれているのは、現実の風景を正確に再現したものではありません。波のうねりは写真に近いものであるも、実際の砂はゴーギャンが描いたバラ色ではなく黄色でした。
ゴーギャンは目に写った景色に心を奪われながらも、ゴーギャン自身が生み出したポン=タヴァン派綜合主義という手法を用いて、この作品を描いたのでした。
アメリカのインディアナポリス美術館所蔵
※1:ポン=タヴァン派綜合主義:ゴーギャンとベルナールによってポン=タヴァンで生み出されたスタイル。複数のイメージを結び合わせて総合することによって、印象派とは全く異なる表現を創りだそうとしました。
対象の忠実な写実を捨て去ること、画家の記憶に基づきながら、画家自身の感情を反映させて制作を行うこと、純色を大胆に用いること、遠近法や陰影を使わないこと、明確な輪郭線で区切られた平坦な色面で描くというクロワゾニスムの技法を用いること、不要なディテールを捨象した幾何学的構図によること、といった原則を打ち立てました。
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