アンギアーリの戦いとカスチーナの戦い レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ

「アンギアーリの戦い」は、15-16世紀イタリアの画家、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品です。
フィレンツェのヴェッキオ宮殿の大広間に描かれた壁画です。軍旗を激しく奪い合う兵士達や軍馬の衝突が描かれ、ダ・ヴィンチ最大の大作と言われています。
ダ・ヴィンチは、本作を油絵で描こうとしました。ロウを混ぜた厚い下塗りなど試行錯誤をしましたが、表面の絵具が流れ落ち、結局、壁画を途中で諦めることになりました。
現在は、ヴァザーリ作のフレスコ画「ヴァルディキアーナでのマルチャーノの戦い」で上書きされてしまったため、ヴェッキオ宮殿で見る事はできません。

        ヴェッキオ宮殿の大広間

しかし、ピーテル・パウル・ルーベンスにより模写されたもの(上記画像)がルーブル美術館に展示されています。
一方、ダ・ヴィンチがヴェッキオ宮殿で「アンギアーリの戦い」を描いていた頃、反対側の壁では、ミケランジェロが「カスチーナの戦い」を描いていました。

ミケランジェロの「カスチーナの戦い」

しかし、こちらも「カスチーナの戦い」の下描きが終わった頃、ミケランジェロは教皇の墓を手がけるためにユリウス2世にローマへ呼び戻され、未完のままとなりました。
フィレンツェのヴェッキオ宮殿所蔵。
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アイソンとメディア

15世紀のフィレンツェで活動した画家、ジローラモ・マッキエッティの作品。
ギリシャ神話の一場面を描いています。その場面とは「若返りの魔法」です。
それでは、解説しましょう。
若返りの魔法とは、「羊の喉をかき切って魔法の霊薬を血管に満たし、ぐらぐらに湯を沸かした大釜で煮る」と若返るというものです。
画面では、コルキスの王女メディアは、義父アイソンを若返らせようとしています。メディアは釜のそばに立ち、月桂樹の枝で材料をかき回せています。義父アイソンは、椅子にのけぞっています。
若返りという人間の不変のテーマを描いた作品です。
フィレンツェのヴェッキオ宮殿所蔵。
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ペルセウスとアンドロメダ

15世紀のイタリア人芸術家ジョルジョ・ヴァザーリの作品。
ヴァザーリは、ミケランジェロの弟子です。「画家、彫刻家、建築家列伝」の執筆で有名となり”最初の美術史家”と呼ばれています。
それでは、本作の場面を解説しましょう。
アンドロメダはエチオピアの王女です。ポセイドンの怒りを買い海獣の生贄にされそうになっているところを、ペルセウスが救いに出かけます。しかし、海獣には剣はまったく歯が立たちません。
そこで、ペルセウスはギリシア神話の怪物メドゥーサの首を取り出し、海獣を石に変え、王女を助け出しました。メドゥーサの首を海水に置くと、そこから流れた血がサンゴになりました。
本作では、岩に縛られた王女の鎖をペルセウスが外しています。また、アンドロメダの左足元にメドゥーサの首があります。メドゥーサの首から溢れたサンゴを男女が収穫しています。
興味深い作品ですが、残念ながら、絵画としての評価はさほど高くありません。
フィレンツェのヴェッキオ宮殿所蔵。
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