温室にて エドゥアール・マネ

印象派の創設に影響を与え近代美術の父とも呼ばれる、フランス画家エドゥアール・マネの晩年の肖像画の代表作(1879年頃)です。
舞台は、パリのアムステルダム通りの温室で、マネは1879年頃の9ヵ月間、アトリエとして使用していた場所です。そして、本作は晩年のマネ作品に見られる特徴が良く示されている作品と言われます。
それでは具体的に観て行きましょう。
一見すると、社会的にある程度の地位にある、ファッショナブルで魅力的なカップルの二重肖像画が目に入ります。彼らはマネの友人で、服飾店を経営するギユメ夫妻です。彼らは互いに手を近づけ、親密さがうかがえます。
しかし、肖像画の焦点は女性の方にあり、女性の方がより目立つ位置に配置され、色鮮やかな衣装を身にまとっています。夫のジュールがベンチの後ろで黒っぽい服を着て身をかがめているという物理的な分離、鑑賞者との関わりの欠如、抽象的な視線は、離人感を生み出しています。
また線の相互作用が作品を形作っています。女性は直立した姿勢でベンチの垂直なスラットと呼応し、男性は前傾しながらもその垂直を崩しません。ベンチは右側に続いており、水平性と前景と背景の分離を強化しています。女性のドレスの斜めのプリーツが、直線的な構図を和らげています。
ベルリン旧国立美術館所蔵
<MAP>

ムーラン・ド・ラ・ギャレット ファン・ゴッホ

オランダのポスト印象派の画家、フィンセント・ファン・ゴッホの作品です。
本作は、パリの小高い丘の上にある、観光名所としても名高い庶民的なダンスホールのムーラン・ド・ラ・ギャレットの風景を描いた作品です。
風車の付いた粉挽き小屋とダンスホールが合わさった建物がムーラン・ド・ラ・ギャレットです。
この時代は都市開発の真っ只中にあり、本作で表現されるやや退廃的で重々しく、荒涼とした雰囲気や、質素で貧困的印象は都会的な一面と田舎的な一面が混在した当時の様子をよく表しています。
ベルリン旧国立美術館所蔵。
<MAP>

Copyrighted Image