並木道 クロード・モネ

印象派を代表するフランスの画家、クロード・モネの初期の代表作のひとつ(1864年頃)です。本作はモネが23歳の時の作品で、セーヌ河口の港町オンフルールから西へ向かう街道にある「サン=シメオン農場」近郊を描いた風景画です。
それでは具体的に観て行きましょう。
画面中央下部には右側へと湾曲するサン=シメオン農場への農道が配されており、道中には植えられた並木からこぼれる木漏れ日が林から落ちる深い影と光彩的コントラストを生み出しています。遠景となる農道奥には農場の母屋と思われる質素な建築物の屋根が描き込まれているほか、清々しい青空が広がっています。さらに農道の両端には背の高い木々が悠々と配され、空間の開放感を強調しています。
本作で特筆すべき点は、やや粘性を感じさせる荒々しい筆触による各構成要素の描写と奔放な光彩の描写です。特に画面手前の右から左斜めへと向けて勢いよく引かれる肌色の木漏れ日の表現は絵具独特の質感を残しながら遠目には光度の強弱が表現されており、観る者の眼を惹きつけます。
さらにコローなどバルビゾン派の影響を感じさせる抑制的な色彩がそのような光彩表現をより一層際立たせており、これらの表現にはモネがルノワールと共に取り組むことになる印象主義的表現の筆触分割を予感させます。
国立西洋美術館(東京)所蔵
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