ポンパドゥール夫人の肖像

18世紀フランス・ロココ様式のパステル画家、モーリス・カンタン・ド・ラ・トゥールの傑作です。
多くの画家がポンパドゥール夫人の肖像画を制作しています。ラ・トゥールはパステル画(※1)が油彩画に劣らないことを示す目的で本作を製作したと言われています。
ラ・トゥールの人物の内面にまで迫った表情の描写は、彼の肖像表現中核のひとつであり、観る者に強い印象を与えます。
それでは具体的に観て行きましょう。
画面中央でやや斜めに首を傾げるポンパドゥール夫人が描かれてます。その表情は憂いを帯びながらも凛とした意思と志の高さを感じさせます。それは、ポンパドゥール夫人が当時置かれていた状況への複雑な心情を反映しており、観る者に強い印象を与えます。
さらにパステル独特の軽快な質感による輝きを帯びたドレスの表現や装飾品・家具の描写も素晴らしい。
ルーブル美術館所蔵。
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※1:パステル画は、クレヨンに似たチョーク状のパステルで描かれます。クレヨンより柔らかいパステルで描くことで、パステルカラーと呼ばれる明るく淡い色調とぼかしやグラデーション効果を使って、美しく軽いタッチの魅力的な絵画に仕上がります。一方で、パステルは重ね塗りもできることから、油絵のような重厚感のある絵まで幅広く描けます。

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