ヘラクレスとオンファレ

18世紀ロココ時代に活躍したフランスの歴史・神話・宗教画家、フランソワ・ルモワーヌの作品です。
ルモワーヌは、アカデミックな大様式の中に生気に溢れる色彩と優美な人体表現を取り入れ、簡潔で清々しい柔軟な構図展開で、ロココ様式に新たな歴史画の道を作りました。
それでは具体的に観て行きましょう。
作品はギリシャ神話の一場面です。
友人を発作的に殺したヘラクレスは、贖罪の為、リュディアの女王オンファレに奴隷として売られてしまいます。女王の寵愛によって腑抜けになったヘラクレスは、女装をさせられ、糸紡ぎ(女性の仕事)をしています。
場面は、ヘラクレスが女王の傍らに座り、抱擁をうけているところです。この倒錯した愛の主題は、女性による男性の支配という理念に由来していますが、ルモワーヌの生気に溢れる色彩と優美な人体表現により、むしろロココ的な享楽性が感じられます。
ルーブル美術館所蔵。
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