ヴォルガの船曳き イリヤ・レーピン

ロシアの移動派画家、イリヤ・レーピンの初期の代表作です。
レービンは、貧困や差別にあえぐ社会の最下層を題材とした作品を数多く描きました。
それでは具体的に観て行きましょう。
本作は船曳き労働の過酷さ、及び、圧政に苦しみ虐げられる民衆の姿を描いた作品です。横長の画面に苦役囚のように苦しげに大きな船を曳く11人の男たちが描かれています。
前方を見ながら先頭を行く男は民衆の知恵を表し、その左のたくましい男は肉体的な力と民衆の素朴さ、単純さの象徴です、
その左右の前屈みになったやや小柄な男は、民衆のやり場のない怒りを代弁しています。苦役の縄を嫌がる少年や病弱の老人など、人物の表情・心理の描き分けが見事です。
サンクトペテルブルクのロシア美術館所蔵。
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