女占い師

この絵画はカラヴァッジョの作品です。「女占い師」には2つのバージョンがあり、原作は1594年に描かれ、ローマのカピトリーノ美術館に展示されています。2作目(本作)は1595年に描かれ、パリのルーブル美術館に展示されています。
少年は少女の顔を満足そうに見つめ、少女も少年を見つめ返しています。しかし、よく絵を見てみると、少女は少年の手を握りながら、彼の指からこっそり指輪を抜いており、少年はそれに気が付いていない様子です。
当時、このような庶民的な画題は、オランダ画家たちにより多く描かれていましたが、伝統あるローマに於いて、一流の画家であるカラヴァッジョが描いたことはセンセーショナルな出来事でした。カラヴァッジョによる世俗的な絵は彼の後継者に大きな影響を与え、ローマでも同様な風俗画が数多く描かれるようになりました。
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マリード・メディシスの戴冠式

この作品は、17世紀フランドルの画家ピーテル・パウル・ルーベンスの代表作「マリー・ド・メディシスの生涯」の24連画のひとつです。
アンリー4世が、ドイツ遠征を前にして、不在中の統治権を王妃のマリー・ド・メディシスに預けることとなり、その権威を強化するため、1610年5月13日サン・ドニ聖堂で王妃の戴冠式を行いました。ルーベンスがこれを描いたのは、戴冠式の十数年後です。歴史的事実に基づいたこの絵は、300年の後ダヴィッドの作品に影響を与えたとされています。
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マリー・ド・メディシスのマルセイユ上陸

この作品は、17世紀フランドルの画家ピーテル・パウル・ルーベンスの代表作「マリー・ド・メディシスの生涯」の24連画のひとつです。
フランス王アンリ四世の妻でルイ十三世の母でもあるマリー・ド・メディシスがリュクサンブール宮殿を装飾するために注文したものです。
アンリ四世と結婚するために、海路はるばるイタリアからマルセイユに到着したばかりの花嫁マリー・ド・メディシスを史実に基づき描いています。 左上にメディチ家の紋章、左下には警護する海の神ネプチューンとトリトン、王妃の足下には到着を喜ぶ3人の海の精ネレイスがいます。
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ルイ14世の肖像

この作品の作者のイアサント・リゴーは、ロココ美術初期を代表する肖像画家です。 フランス古典主義の画家フィリップ・ド・シャンパーニュや17世紀フランドル絵画の巨匠アンソニー・ヴァン・ダイクの優雅な人物表現と、イアサント・リゴー独自の豪奢な肖像演出を融合させた画風は、豪壮かつ優雅で、華々しさが際立ち、モデルを気品高く、偉大に感じさせます。
この作品は、スペイン王フェリペ5世に贈るために注文された肖像画で、気品溢れる古代風の装飾、緋色の幕、白百合の紋章がついた衣装を身に纏った太陽王の威厳といった各々の細部のおかげで、絶対権力を表わす洗練されたイメージを創りだしています。
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大法官セギエの肖像

この作品は、フランス古典主義時代を代表する画家シャルル・ル・ブランの代表作です。 本作品に描かれているのは、シャルル・ル・ブランを若い時分から庇護し援助した大法官セギエが騎乗する姿とその一行です。
大法官セギエを中心に、その同一線上の人物らの安定的な構図や構成、色彩的装飾を抑えた統一的な色彩表現、高度な技術による写実的描写にフランス古典主義の規範的表現が示されています。抑制的でありながらも、大法官セギエの人物像と場面的表現に肉薄した色彩の使用は、今日でもフランス古典主義時代の代表的な肖像画として広く知られています。
騎乗の大法官セギエは黒色の帽子と質の良い豪華な衣服を身につけ、手綱を握りながら観る者の方を向いているほか、セギエが跨る白馬も神話に登場するかのような品が感じられます。またセギエの腰部分の横線上に次官らが配されており、それぞれセギエを囲みながら傘持ちなど己の任をこなしています。
彼らの規範的かつ実直でありながらも、やや甘美性を携えた表情や表現に画家の優れた画才と芸術的感覚を感じさせる作品です。
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ジプシーの女

この作品は、17世紀に活躍した画家フランス・ハルスが1618年頃から1630年頃までおこなった様々な人々の豊かな表情を描写した作品の中の代表作の一つ。作品のモデルは、特定のジプシー又は娼婦を描いたものであるかは不明ですが、 その風貌から1870年に「ジプシー女」と命名され現在まで伝統的にそう呼称されています。娼婦的な女性の単身像を描く場合に画家が陥る、官能性のみを過大に追求した卑俗に満ちた表現からフランス・ハルスは逸脱し、ユトレヒト・カラヴァッジョ派らの影響である明暗対比の強い陰影法と、画家独自の速記的な筆跡によって、対象が瞬間的に見せる無邪気な性格と表情を画面へ描写することに成功しています。
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リシュリュー枢機卿の肖像

この作品はルイ13世の宰相として名高いリシュリューの全身像です。 彼は襞のついた僧服を持ち上げ、枢機卿であることを示す赤い角帽を前に差し出しています。
作者はフィリップ・シャンペーニュ。シャンパーニュの初期の作品に共通する鮮やかな色彩や豪華な布地の表現は、フランドル美術の影響を受けています。
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狩猟場のチャールズ1世

この作品を描いた、アンソニー・ヴァン・ダイクは、ルーベンス以降の17世紀フランドル絵画で最も名を馳せた画家の1人です。
イタリアで活動した後にイングランドに渡り、イングランド国王チャールズ1世の宮廷画家として活躍しました。ヴァン・ダイクが描いたチャールズ1世の肖像画は10余点が現存していますが、この作品はその中でも優れた作品で、ヴァン・ダイクが描いた肖像画の中で最も知られている作品です。
狩猟場で馬から降りた国王が休息しています。右手をステッキに置き、左手を腰にあてたリラックスしたポーズが、とても自然な感じで印象的です。 それでいて、チャールズ1世の気品溢れる悠然とした立ち姿は国王としての威厳を損なうことなく、その人柄までも伝わって来ます。また、 素早いタッチで描かれた背景と精緻に描かれた国王や植物の描写の違いが互いに引き立て合っています。
ヴァン・ダイクの肖像画はその後のイングランドの肖像画の基礎となり、彼の死後150年以上にわたってイングランド絵画に大きな影響を与え続けました。
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夕日の港

この作品は、クロード・ロランの海景画の作品で、左側には見る者の視線を奥へと導く、古典的建築の列が並び、右には帆船のシルエットが美しく浮かび上がっています。 日没のまばゆい光が、すべてを憂愁に溢れた詩情で包み込む作品と評されています。
クロード・ロランはプッサンと並んで17世紀フランスの代表的な画家です。風景画において西洋絵画史に大きな影響を及ぼしました。
初期はタリアのドメニキーノ、カラッチらの影響を受けた画風でしたが、次第に「誰の目にも美しい」詩情性を持った風景画を描くようになります。
イギリス・ロマン主義の風景画家ジョン・コンスタブルはクロード・ロランのことを「世界が今まで目にした最も完璧な風景画家」だと評し、クロードの風景では「全てが美しく、全てが愛らしく、全てが心地よく安らかで、心が温まる」と絶賛しました。
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