村の花嫁

ロココ美術・新古典主義の風俗画家家、ジャン=バティスト・グルーズの出世作です。
ジャン=バティスト・グルーズは、道徳的主題に基づいた風俗画や、堅実性を感じさせる肖像画、そして寓意性を漂わせたあどけない少女像作品を主に描きました。
本作品では、ある村において「結婚する娘と一家、そして花婿」の光景が描かれています。
画面左側では別れを悲しむ母親や妹に腕や肩を掴まれた、節目がちな花嫁が配されており、その情景からは多少芝居がかり感傷的過ぎる節は感じられるものの、「娘の嫁ぎ」という別れの悲しさが十分伝わってきます。
一方画面右側では花婿に持参金を手渡す娘の父親や、結婚の契約書を作成する村の公証人、さらには先に結婚する妹に対して嫉妬心を抱く姉の姿が描き込まれるなど、結婚そのものの世俗的で現実的な側面と人物の複雑な心理状態が見事に描写されています。
ルーブル美術館所蔵。
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画家と娘

この作品は、18世紀のフランスを代表する女流画家、エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランの作品です。
ヴィジェ=ルブランは、マリー・アントワネットをはじめとする多くの貴族を描き、高い描写力の中に対象の理想的な姿を表現した気品漂う洗練性の高い肖像画を多く残しました。この作品もそのひとつで、ヴィジェ=ルブラン自身と娘を描いています。
具体的に観て行きましょう。
豪華なサテンの衣装に身を包み、頭にターバンを巻いたヴィジェ=ルブランは、両手で娘をしっかりと抱きしめています。穏やかな笑みを浮かべた表情は、気品が漂い、母親としての喜びに輝いています。
ルーブル美術館所蔵。
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独楽遊びをする少年

フランスのロココ美術の巨匠ジャン・シメオン・シャルダンの作品です。
シャルダンは、日常の生活の1場面に教訓的意味も込めた作品を数多く描きました。本作品もそのひとつです。
具体的に観て行きましょう。
少年が独楽で無心に遊んでいる姿が描かれています。
机の面と壁の緑、赤の太い縦帯が、画面に安定感をもたらし、明るい色のおしゃれなチョッキを着た少年の穏やかな沈黙が、なんとも美しい作品です。
教訓的意味としては、回っている間しか立っていられない独楽は、人間の怠慢や変転する運命を、机の上の本やペンは、学習や勤勉を意味しています。
ルーブル美術館所蔵。
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カードの城

フランスのロココ美術の巨匠ジャン・シメオン・シャルダンを代表する作品のひとつです。
トランプで城を作ろうとしている青年の上半身だけが描かれ、背後の壁には室内のようすを説明するものはまったくありません。きわめて簡素で、色調も控えめだが、穏やかな雰囲気が醸し出されています。
一方、トランプの城は崩れやすいことから、虚しさを表しています。
ルーブル美術館所蔵。
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食前の祈り

ロココ様式時代のフランス絵画の巨匠ジャン・シメオン・シャルダンの風俗画代表作のひとつ。
何気ない日常風景の中に、フランスのブルジョワ階級の生活態度やその姿勢が示されている作品です。
それでは具体的に観て行きましょう。
柔和な光の加減や物静かで優しい空気感、落ち着いた清潔感を感じさせる色彩描写が、観る者を絵画内の生活世界へと誘い込みます。
フランスのブルジョワ階級の食事時、食事の用意をする母親がその手を止め、朱色の帽子を被り小さな椅子に座る幼い娘に視線を向け、食前の祈りを捧げるよう促がしています。食前の祈りの最初の一句は、家族の中で最年少の子が唱える習慣がありました。
宗教的かつ教育的な主題を示しつつ、微笑ましい家庭情景が描かれています。
ルーブル美術館所蔵。
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買い物帰りの召使い

静物画家として有名なジャン・シメオン・シャルダンの作品です。
シャルダンの静物画は、緻密な構図と巧みな質感描写、そしてその不思議な静謐さで、観る者の視線を引き付けます。
様々な物たちがシャルダンの魔法の筆によって生命が与えられるのです。
それでは、具体的に観て行きましょう。
召使いの周りの銀製の盆、陶器の壺、硝子の瓶といった様々な台所道具は、粗めのタッチで質感が巧みに描き分けられています。また、上から差す光に照らされた何気ない表情の描写が、自然な雰囲気を醸す出しています。
ルーブル美術館所蔵。
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赤エイ

静物画家として有名なジャン・シメオン・シャルダンの作品です。
シャルダンの静物画は、緻密な構図と巧みな質感描写、そしてその不思議な静謐さで、観る者の視線を引き付けます。
様々な物たちがシャルダンの魔法の筆によって生命が与えらます。
それでは、具体的に観て行きましょう。
吊るされたエイのぬめぬめとした質感や銅鍋の鈍い輝き、磁器の艶やかな光沢など、様々な食材や什器類の質感を巧みに描き分けています。
魚を狙う猫が画面に動きの要素をもたらし緊張感を与えています。
ルーブル美術館所蔵。
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パイプと水差し

静物画家として有名なジャン・シメオン・シャルダンの作品です。
シャルダンの静物画は、緻密な構図と巧みな質感描写、そしてその不思議な静謐さで、観る者の視線を引き付けます。
様々な物たちがシャルダンの魔法の筆によって生命が与えられるのです。
それでは、具体的に観て行きましょう。
左の長いパイプ、背の高い水差し、右端の杯の三つが作り出す三角形構図が安定感をもたらしています。そして、銀器やガラス器の硬質な輝きが、陶器の温かみのある乳白の肌触りと好対照をなし、観る者の視線を引き付けるのです。
ルーブル美術館所蔵。
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フランス・ロココ絵画(優雅で美しい美術様式)の巨匠ジャン・オノレ・フラゴナールの代表作です。
フラゴナールは、稲妻のような筆遣いと快活な油絵で、ひとつの作品を約1時間で仕上げたと言われています。
それでは具体的に観て行きましょう。
ぬかるみに車輪をとられてしまっている大きな荷馬車。その向こうに仰ぐ大きな空は、嵐が過ぎ、曇りと晴れのちょうど中間点で、暗く分厚い雲と、晴れた切れ目からの鮮烈な光が差しています。
赤い服のお兄さんと仲間たちが荷馬車を一生懸命後ろから押して何とかして斜面のぬかるみから抜け出そうとしています。しかし、女の子たちは荷馬車の上にのんびり座ったままで、どことなく閑かな田園の雰囲気があります。
光とあらゆるのものに動きがあり、ドラマチックで、かつ、微笑ましくもある作品です。
ルーブル美術館所蔵。
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