ヴァルパンソンの浴女

19世紀フランス絵画界の新古典主義の巨匠、ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングルの作品です。
アングルは、ルネサンスの古典を範と仰ぎ絵画制作の基礎としました。色彩や明暗よりも形態を重視し、また忠実に模写することよりも自分の美意識に沿って絵画を描きました。
それでは具体的に観て行きましょう。
頭にターバン風頭巾を着けた浴女は、寝具に腰掛け一息をつくような自然体の様子で背後から描かれています。皺ひとつよらない理想化された肌の表現や、全体的に丸みを帯びた女性らしい肉感とふくらみの描写は、あたかも古代の彫刻のようです。
色は多用せず、緑色、クリーム色、茶色をトーンの変化をつけ、左のカーテンから背景の布、ベッドカバーと画面の右に移動するにつれて明るくなっています。
このグラデーションの変化が入浴に掛けて、魂の洗浄と純化を表しており、モデルが風呂場から離れるほど白く、清くなっていきます。
ルーブル美術館所蔵。
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3+

アモルとプシュケ

18世紀のフランスを代表する新古典主義の画家、フランソワ・ジェラールの代表作です。ジェラールは、基本に忠実な形態描写と対象を的確に捉えながらも理想化した、新古典主義の作品を描きました。
それでは具体的に観て行きましょう。
本作の主題「プシュケとアモル」は、美の女神ヴィーナスも嫉妬するほどの美貌の持ち主の王女プシュケに恋をした愛の神アモル(キューピッド)の物語です。
愛の神アモルはプシュケをやさしく抱き寄せその額へ口付けをおこなっています。しかし、王女プシュケは接吻をおこなうアモルの方には目を向けず、視線は宙を彷徨っています。王女プシュケには、愛の神アモルは見えないのです。古代から魂を意味するモティーフとして使われる蝶が、二人の頭上を舞っています。
・大理石を思わせるような滑らかで美しいプシュケやアモルの肌の描写。
・動性を感じさせることのない徹底した姿態の純化と人工的表層描写。
・絶妙に画面全体へと拡散するアモルとプシュケ甘美的な官能性。
・牧歌的かつ自然な背景の風景表現など、
新古典主義作品として、極めて完成度が高いと評されている作品です。
ルーブル美術館所蔵。
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3+

リヴィエール嬢の肖像

19世紀フランス絵画界の新古典主義の巨匠、ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングルが23歳の時に描いた作品です。
アングルは、モデルの性格や容姿を繊細にくみ取り、表情や立ち振る舞いを絵画に表現しました。
それでは具体的に観て行きましょう。
モデルは清楚な15歳の少女です。背景に広々としたルネサンス風の牧歌的風景が描かれています。左右に広がる森林や湖の描写によって水平を強調しつつ、教会の尖塔の垂直が絶妙なアクセントとなっいます。また、晴朗な空にくっきりと顔を浮かび上がらせることで、大きな黒い瞳と三日月状の太い眉を際立たせ、そして、空の青と衣装の白の対比により、少女の清楚な雰囲気を見事に表現しています。
ルーブル美術館所蔵。
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2+

トルコ風呂

19世紀フランス絵画界の新古典主義の巨匠、ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングルが手がけた裸婦作品の集大成的作品です。
アングルは、ルネサンスの古典を範と仰ぎ絵画制作の基礎としました。色彩や明暗よりも形態を重視し、また忠実に模写することよりも自分の美意識に沿って絵画を描きました。
それでは具体的に観て行きましょう。
画面中央前景には優雅に楽器を奏でる女性、ソファーへ寝そべる女性、髪に香油を付ける女性などが配されています。また、後景には音楽に合わせて踊る者、会話を楽しむ者、飲食する者など様々な女性たちが描かれています。
女性たちの手足や胴体は、アングルの美意識に沿ってゆがんで描かれており、女性たちの気だるくくつろぐ姿を見事に表現しています。
本作の豊潤な官能性や肉体描写はポール・セザンヌを始め、ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ、アンリ・マティス、パブロ・ピカソなど後世の画家たちに多大な影響を与えました。
ルーブル美術館所蔵。
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3+

グランド・オダリスク

19世紀フランス絵画界新古典主義の巨匠ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングルの代表作です。
アングルは、ルネサンスの古典を範と仰ぎ絵画制作の基礎として尊重しました。また、色彩や明暗よりも形態を重視し、忠実に模写することよりも自分の美意識に沿って絵画を描きました。
それでは具体的に観て行きましょう。
アングルは、美と官能性を作り出すために、女性の背中に見られるような、引き伸ばされ、曲がりくねった線を好んで用いました。また光が一様に当てられた裸婦のボリューム感は、奥行きのない空間の中で抑えられています。
こうした線描の抽象化とは対照的に、布地の質感といった細部は、本物と見紛うほど写実的に描かれています。
アングルの美意識に沿って、抽象性と写実性が逆説的に組み合わされた作品です。
ルーブル美術館所蔵。
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3+

レカミエ夫人の肖像

18/19世紀のフランス新古典主義の画家、ジャック・ルイ・ダヴィッドの傑作です。新古典主義の肖像画の最高傑作のひとつとも言われています。
ダヴィッドは、デッサンと形を重視し、理性を通じた普遍的価値の表現を追求(新古典主義)した画家です。
それでは具体的に観て行きましょう。
モデルは、裕福な銀行家の妻で、パリ社交界の花と言われた、ジュリエット・レカミエ夫人です。当時、上流階級の女性の間で流行した古代風の質素な衣装に身をまとい、古代人の習慣に従って長椅子に横たわっています。
全体像を遠くから、そしてレカミエ夫人の顔を小さく描くことで、ひとりの人物の表現よりも、女性の優雅さと気品を強調しています。
個性の表現と理想化が見事に調和した作品です。
ルーブル美術館所蔵。
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3+

ポンパドゥール夫人の肖像

18世紀フランス・ロココ様式のパステル画家、モーリス・カンタン・ド・ラ・トゥールの傑作です。
多くの画家がポンパドゥール夫人の肖像画を制作しています。ラ・トゥールはパステル画(※1)が油彩画に劣らないことを示す目的で本作を製作したと言われています。
ラ・トゥールの人物の内面にまで迫った表情の描写は、彼の肖像表現中核のひとつであり、観る者に強い印象を与えます。
それでは具体的に観て行きましょう。
画面中央でやや斜めに首を傾げるポンパドゥール夫人が描かれてます。その表情は憂いを帯びながらも凛とした意思と志の高さを感じさせます。それは、ポンパドゥール夫人が当時置かれていた状況への複雑な心情を反映しており、観る者に強い印象を与えます。
さらにパステル独特の軽快な質感による輝きを帯びたドレスの表現や装飾品・家具の描写も素晴らしい。
ルーブル美術館所蔵。
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※1:パステル画は、クレヨンに似たチョーク状のパステルで描かれます。クレヨンより柔らかいパステルで描くことで、パステルカラーと呼ばれる明るく淡い色調とぼかしやグラデーション効果を使って、美しく軽いタッチの魅力的な絵画に仕上がります。一方で、パステルは重ね塗りもできることから、油絵のような重厚感のある絵まで幅広く描けます。

2+

水浴のディアナ

18世紀フランス・ロココ様式の画家、フランソワ・ブーシェの代表作。
ブーシェは、人体の感覚的な描写が有名で、1千点以上の絵画と1万点以上のスケッチを描きました。
印象派の巨匠オーギュスト・ルノワールは、本作品を観て感銘を受けたと言われます。また、エドゥアール・マネによる「草上の昼食」の裸婦にも影響を与えてた作品です。
それでは具体的に観て行きましょう。
描かれているのは、ローマ神話に登場する月と狩猟の女神ディアナです。
三日月のアクセサリー、狩猟に使われた弓矢、獲物などがディアナを示すアトリビュートとして描かれています。狩猟を終え、水浴をするために衣服を脱いだ女神の、麗しい裸体が印象的な作品です。
女性像に見られる薔薇色を帯びた乳白色の肌と豊満な身体、愛らしい顔つき。これらは、ブーシェの特徴です。
ルーブル美術館所蔵。
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2+

リナルドとアルミーダ

18世紀フランス・ロココ様式の画家、フランソワ・ブーシェの作品です。
ブーシェは、人体の感覚的な描写が有名で、1千点以上の絵画と1万点以上のスケッチを描きました。この作品でも魔女アルミーダの姿が美しい。
それでは具体的に観て行きましょう。
作品の主題は、タッソーの叙事詩「解放されたエルサレム」で、十字軍戦士リナルドと魔女アルミーダの話です。
2人は敵味方。しかし戦士リナルドは自らの使命を忘れ、魔女アルミーダを恋してしまいます。この作品では、盾を手放し、魔女アルミーダに夢中になるリナルドの姿が描かれています。背後には、壮麗なバロック様式の建築が見え、恋人どうしの甘美な世界と対比をなしています。
やがて、戦士リナルドの仲間(右側の二つの柱の間に居ます)が現れ、リナルドは使命を思い出し、アルミーダを捨てて、戦場に帰っていく物語です。
ブーシェの妻マリー=ジャンヌが魔女アルミーダのモデルを務めたと伝えられています。
ルーブル美術館所蔵。
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2+