ヒヴァ・オア島の魔法使い ポール・ゴーギャン

フランスのポスト印象派の画家、ポール・ゴーギャンの作品(1902年)です。
当時、まだ西洋文化が浸透していなかった未開の地、タヒチ北東のヒヴァ・オア島の儀式を司る原住民魔術師パプアニを描いています。ゴーギャンの空想性と夢遊性に溢れた光と色彩の表現が際立った作品です。
それでは具体的に観て行きましょう。
中央やや左に描かれている真紅の外套を身に着けた魔術師パプアニは、親指と人差し指で小さな白花を摘み、後方に描かれている原住民の2人の婦人に差し出しています。魔術師パプアニの視線はまどろみに包まれたかのように空虚な印象でありながら、不思議と野性味と生命力に満ち溢れています。
さらに魔術師パプアニの顔面と対角線の右下には幻想性豊かな狐と野鳥が配されていますが、これはマルキーズ諸島の古代信仰を意味していると言われています。
魔術師パプアニの強い原色的な赤色と濃紺の衣服は、西洋絵画の伝統的な宗教的色彩と共通しています。しかし、そこから生み出される印象は全く異なり、ゴーギャンが魔術師に不可思議性や恐怖感覚を抱いていたことが判ります。
また人物などが配される画面左側と動物達が配される右下、そして遠景として描かれる森林には比較的強い光彩が用いられており、さらに中景の灰褐色で表現される小川が光によって鈍く輝いています。これらが互いに相乗し合うことで、本作にある種の調和と自然の不変的神秘性を与えています。
ゴーギャンの空想性と夢遊性に溢れた光と色彩の表現が際立っている作品です。
ベルギーのリエージュ近代美術館所蔵
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