水浴 パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソの新古典主義時代(※1)の作品です。
サンドロ・ボッティチェリ作「ビーナスの誕生」やポール・セザンヌ作「大水浴図」など、海・浜辺が背景となる作品では、裸体の女性が描写されていました。
本作では、西洋美術における長い伝統には捉われず、ピカソは自由に女性を描写しています。
それでは具体的に観て行きましょう。
太陽がさんさんと降り注ぐ浜辺にて、水着姿で遊ぶ女性たちが健康的で生き生きと描かれています。健康的に引き締まり、しなやかなで美しい体が、見事に表現されています。
当時、海水浴や日光浴を行うことは珍しく、ピカソの急進的な精神、精神的自由を反映しています。
パリのピカソ美術館所蔵
※1:新古典主義の時代(1917年 – 1925年):ルネサンスやバロックの名品に影響を受け、どっしりと量感のある、身体に比べて大きい手足、彫刻のような肉体、額から続く高い鼻などが特徴の作品を多く描いた時代。
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座る女(マリー・テレーズ) パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソのシュルレアリスム時代(※1)の作品です。ピカソの愛人マリー・テレーズ・ウォルターを描いています。
それでは具体的に観て行きましょう。
マリー・テレーズは肘掛の椅子に座わっており、赤色と緑色を基調とした明るい色彩で描かれています。色彩論において赤色と緑色は対立する色と定義され、通常、両極性のある色彩を組み合わせると、作品は単調で平面的になります。
しかし、ピカソは、キュビズムの分析・解体と構築を用い、作品に空間的な奥行きを与えることに成功しています。作品の色彩とキュビズムの立体感により目の錯覚が生じ、背景となる部屋の2つの角が遠ざかって見え、立体的な空間に見えます。
また、マリー・テレーズの派手で明るい色彩のドレスには、白黒の横縞を入れることで色彩の調和をとっています。体のラインは上品な様相で表現され、色遣いとキュビズムの技法により作品は立体的に見え迫力があります。
パリのピカソ美術館所蔵
※1:シュルレアリスム(超現実主義)の時代(1925年 – 1936年):シュルレアリスム(ジークムント・フロイトの精神分析とカール・マルクスの革命思想を思想的基盤とし、無意識の探求・表出による人間の全体性の回復を目指しました。)に興味を持ち、活動した時代
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海辺の人物 パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソのシュルレアリスム時代の作品です。
本作は、愛人マリー・テレーズと過ごしたバカンスの一場面を描いています。ピカソとマリー・テレーズは浜辺でキスをしています。
奇怪な姿の二人は、生物の起源となる太古の原形質に見え、浜辺に漂着したような姿で描写されています。
頭は、カマキリのように見えます。メスのカマキリは後尾後にオスを食べますが、その屈折した概念は生と死のパラドックスに関する視覚的メタファーであると言われます。
パリのピカソ美術館所蔵。
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裸足の少女 パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソが14歳の時の作品です。
新古典主義時代(※1)の輪郭の原型と言われ、穏やかで素朴な少女の表情を見事に表現した作品です。
それでは具体的に観て行きましょう。
作品に描かれた少女は真っ赤なワンピースを着用し、両手を膝の上に置いて椅子に座っています。少女の瞳は大きく真っすぐ前を見ており、10代の少女にしては手足がどっしりして大きく描かれています。それによって安定感が出て生命力に満ちています。
ピカソ美術館所蔵。
※1:新古典主義の時代(1917年 – 1925年):ルネサンスやバロックの名品に影響を受け、どっしりと量感のある、身体に比べて大きい手足、彫刻のような肉体、額から続く高い鼻などが特徴の作品を多く描いた時代。
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朝鮮の虐殺 パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソの作品です。
本作は信川虐殺事件を批判し作成した作品です。
画面左側に描かれているのは、母親と子供、妊婦です。これは「信川虐殺」の最も悲劇的な事件である「400オモニ(母親)の墓」「102子供の墓」からの引用です。
右側に並ぶ兵士たちは、中世から近代にかけてのさまざまな防具を寄せ集めたような不格好な姿で、近代的ロボットのようにも見えます。しかし、下半身は尻や性器が丸出しです。
本作はピカソのキュビスム表現主義の時代(※1)の作品です。
パリのピカソ美術館所蔵。
※1:キュビスム表現主義の時代(1937年 – 1973年):ピカソがキュビスム表現主義的な作品を多く残した時代
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