ブルターニュの農婦たち ポール・ゴーギャン

フランスのポスト印象派の画家、ポール・ゴーギャンの作品(1894年)です。
タヒチからポンアヴェンへと帰ってきたゴーギャンは、再び以前創作のテーマとしていた農村の風景を描き出しました。しかし、ゴーギャンが再び描き出したブルターニュの景色は、ポリネシアの風習を踏まえたものでした。
それでは具体的に観て行きましょう。
本作に登場する人物は皆、ゴーギャンが描いたタヒチの裸女たちを連想させるような頑丈なシルエットで描かれています。他にも大きな手と足や目立つ頬骨など、似たような描写が多数あります。立ち話をしている農婦たちの後ろには収穫時の小麦畑が広がっており、農夫が腰を下ろし畑作業に集中しています。
農婦たちの背後にある葉を除くすべての描写にはゴーギャンの特徴的な黒い線が描かれています。また、色彩の小刻みなタッチを重ねることで光を表現し、作品に描かれているもの、例えば農婦が身につけているエプロンなどに素材感を与えています。また単純化され、具体的に描かれていないものはお互いに混じり合い、空間の構造を作り出しています。更にゴーギャンは黄色、赤、緑や青などの鮮明な色を使い、風景を印象的にすることで、陳腐な雰囲気を一掃したのでした。
オルセー美術館所蔵。
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白い馬 ポール・ゴーギャン

フランスのポスト印象派の画家、ポール・ゴーギャンの作品(1898年)です。
ゴーギャンの晩年作品で、友人の薬剤師の依頼により描かれたものです。白馬が水を飲んでいるが、緑色の馬体は非常にまがまがしく幻想的に見えます。
依頼主はこの白馬を見て受け取りを拒否したと言われます。この時期、ゴーギャンは自殺未遂をしており、絵画に精神面の不安定さが表れている作品です。
それでは具体的に観て行きましょう。
この白い馬の姿勢は、ギリシャのパルテノン神殿にあるレリーフに影響を受けたとされています。穏やかに水を飲んでいるように見える馬ですが、一白馬といわれる優雅で華奢なイメージではなく、骨太で野性味があふれています。色も自然の緑に囲まれて、馬自体も緑を帯び、人と共にいながらも飼いならされていない雰囲気が漂っています。穏やかな中にも人工物を寄せ付けない自然のエネルギーが感じられ、毅然とした美しさを放っています。
白い馬の奥には裸の人を乗せた赤茶色の馬と、右奥にも周りの色に溶けこんでいる人を乗せた茶色い馬がいます。その佇まいは自然の中にいて非現実的で、異次元に吸い込まれていくような幻想的な雰囲気を醸し出しています。
この作品を描いた時期、ゴーギャンは自殺未遂をしており、絵画にゴーギャンの精神面の不安定さが表れています。
オルセー美術館所蔵
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アレアレア ポール・ゴーギャン

フランスのポスト印象派の画家、ポール・ゴーギャンの作品(1892年)です。
タヒチ滞在時に制作された作品で、現地の民話や古くから伝わる宗教行事に強いインスピレーションを受け、この作品を現実と夢が共存している象徴として描きました。
それでは具体的に観て行きましょう。
前景には2人の若いタヒチの娘が1本の樹木の傍らで腰を下ろしながらゆったりと過ごしており、その中のひとりは目を瞑りながら細い縦笛を奏でています。画面左下には一匹の神秘的な動物が赤茶色で描かれています。緑・黄色・赤の調和が素晴らしく、背景には、偶像を崇拝している女性たちが見えます。ゴーギャンは、マオリの小さなモチーフを大きなブッダに置き換え、巨大化させ、神聖な儀式のイメージを出しています。
輪郭線で囲んだ平坦な色面によって対象を構成するクロワゾニスム的手法を用いた対象の単純化と象徴化を、強烈な色彩による色面とその対比によって表現しており、タヒチ独特の異国的雰囲気が伝わってきます。これらの色彩表現や構成的展開が、当時のゴーギャンの特徴です。
本作は全体図として調和に満ちた構造となっており、哀愁的でもあり、神の庇護のもとに生き素晴らしい自然のただ中に生きる人間の姿が描かれています。これは太古のポリネシアの姿であり、ゴーギャンの理想郷でした。
オルセー美術館所蔵
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タヒチの女たち ポール・ゴーギャン

フランスのポスト印象派の画家、ポール・ゴーギャンの作品(1891年)です。
本作は、ゴーギャンがタヒチに理想郷を求めて渡航した年に制作されたもので、南洋の楽園、タヒチの光景が目の前にいっぱい展開されています。
ゴーギャンは、ここタヒチで、精神的に解放され、ゴーギャン独自の絵画表現を、体得したのでした。
それでは具体的に観て行きましょう。
タヒチの二人の女性が、画面いっぱいに大きく描かれています。左側の眼を伏せて横すわりしている女性は、砂地に手をつき、太陽の日差しを浴びて物憂げな様子です。右側の女性は、こちらに身体を向け乾草のようなもので紐かなにかを編んでます。胡坐をかき視線を右外に向けています。
手前の砂地には、花飾りやマッチ箱のようなものがあり、渦巻きを描いた跡が見られます。遠くには、碧い海と浅瀬の緑の海、その間には白波が見えます。
色彩は、赤やピンク色、黄土色が支配的で、いかにも南洋の温暖な気候、のどかな情景を感じさせます。色調の細かい変化を抑えた平面的な筆使いで、画面内の遠近感と二人の女性の圧倒的な量感を表現しています。
寒色系の海が画面の奥行きを出しています。そして左右の女性の対照的な対比、身体の向きやしぐさ、表情、衣服の対比によって、さらに立体感を出しています。南洋の楽園、タヒチの光景が目の前にいっぱい展開された、印象的な作品です。
ゴーギャンは、ここタヒチで、精神的に解放され、ゴーギャン独自の絵画表現を、体得したのでした。
オルセー美術館所蔵
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聖アンソニーの誘惑 ポール・セザンヌ

フランスのポスト印象派の画家、ポール・セザンヌの作品(1887年)です。
聖アンソニーの誘惑は、ミケランジェロ、ヒエロニム・ボッシュ、サルバドール・ダリ、マックス・エルンストなど、多くの画家に描かれた題材です。
セザンヌもこのテーマで3枚の絵画を描いており、本作はその中で、セザンヌが最後に描いたものです。
それでは具体的に観て行きましょう。
絵の中央に配置された女性は、誇らしげなジェスチャーをしています。この女性は、悪魔が姿を変えたもので、聖アンソニーを誘惑しています。
左側には本物の悪魔が描かれています。この悪魔は、二重の役割を果たしているように見えます。悪魔は聖アンソニーを誘惑しているだけでなく、逆説的に聖アンソニーがしがみついている保護者であるようにも見えます。
オルセー美術館所蔵
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ガシェ医師の家 ポール・セザンヌ

フランスのポスト印象派の画家、ポール・セザンヌの作品です。
セザンヌは、1873年当時、オーヴェルで一緒に仕事をしていた師カミーユ・ピサロの影響を受け、直接、自然を描くようになると共に、色彩も豊かになっていきました。
しかし、他の印象派が好んで描いたような軽やかなタッチの絵ではなかった為、批評家たちの評価を得る事はできませんでした。
しかし、セザンヌ独特の構造へのこだわりが見られ、平面的な構図と短い平行な筆致で描いた本作は、20世紀初頭のパブロ・ピカソによるキュビスムの発展を促し、批評家の評価を完全に覆すこととなります。
当時ピサロは「私が望むように、もし彼(セザンヌ)がオーヴェルに暫く滞在すれば、彼を非難することを急いでいた多くの批評家たちを驚かせることになるだろう」とコメントしています。
オルセー美術館所蔵。
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現代のオリンピア ポール・セザンヌ

フランスのポスト印象派の画家、ポール・セザンヌの初期の代表作です。
本作はセザンヌの同名作品の2作目で、1作目の作品(セザンヌの初期の作品)は、暗い色彩で描かれていました。

現代のオリンピア(1作目)

しかし、本作は光り輝くまばゆい色彩と華麗な演出で描かれています。この頃、セザンヌの作風は印象派に向かっていました。
黒人の召使いにさらわれた女性の裸体と、女性を観客のように見ている黒衣の男の優雅な服装のコントラストが、観る者にエロティックで芝居じみた印象を与えます。絵の左側に垂れ下がっているカーテンの存在により、芝居じみた印象は、更に強調されています。
ティツィアーノによる傑作「ウルビーノのヴィーナス」から続く、西洋絵画史における裸婦の表現とその位置付けをさらに進化させたと言われる作品です。
オルセー美術館所蔵。
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ギュスターヴ・ジェフロワの肖像 ポール・セザンヌ

フランスのポスト印象派の画家、ポール・セザンヌの作品です。
本作は、ジャーナリストで文筆家のギュスターヴ・ジェフロワを描いた作品で、画面の連帯的統一性が素晴らしい作品と言われます。因みに、ギュスターヴ・ジェフロワは、ゴッホが生きている間に唯一売れた作品を購入した女性の弟だそうです。
それでは具体的に観て行きましょう。
椅子に腰掛け、仕事机に両手を乗せながら執筆中のギュスターヴ・ジェフロワが描かれています。画面の左側には薔薇が挿された花瓶とロダンの彫刻が置かれています。さらにギュスターヴ・ジェフロワの背後には本棚に秩序正しく並べられた幾数もの本が置かれており、文筆家として知識が豊富であることを伺わせます。
本作を観る者の視線は、まず手前(画面下部)の仕事机に置かれる書物や小物に向けられ、そこから両手をハの字に広げたギュスターヴ・ジェフロワの姿と顔面へ、そして斜めに配された椅子を経由して背後の本棚へと誘導されます。
この自然な視線の誘導こそ、セザンヌが本作に込めた仕掛けであり、垂直が強調された画家独特の堅牢性と共に、画面の連帯的統一性が素晴らしい作品です。
オルセー美術館所蔵。
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女とコーヒーポット ポール・セザンヌ

フランスのポスト印象派の画家、ポール・セザンヌの作品です。
本作に描かれている、コーヒーポットやカップには「自然を円柱、球、円錐によって扱い表現すべきである」というセザンヌの信念が表現されています。
それでは具体的に観て行きましょう。
青色の清潔な衣服を着た家政婦が正面を向いて座っています。堅固に整えられた髪形が特徴的な家政婦の表情は労働者階級とは思えないほど威厳があります。また家政婦の身体の中心には衣服の襞が垂直線となって描かれており、背後の壁や画面右側に配されるコーヒーポット、カップに挿されるスプーンと共に本作の垂直性を強調しています。
そして家政婦の身体を構成する円錐形や、コーヒーポットやカップの円柱形には、セザンヌが友人エミール・ベルナールと交わした手紙で記した「自然を円柱、球、円錐によって扱い表現すべきである」という信念が表現されています。
オルセー美術館所蔵。
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