システィーナ礼拝堂天井画 ミケランジェロ・ブオナローティ

盛期ルネサンスの三大巨匠の一人、 ミケランジェロ・ブオナローティの代表作(1512年頃)の一つで、4年の歳月をかけ作成された世界最大の壁画です。
主題は旧約聖書の冒頭書に50章から書かれた、神による世界と人間の創造から、楽園追放、バベルの塔、ノアの箱舟などの神話的伝承と、アブラハム・イサク・ヤコブ・ヨセフらの族長伝承などから成る「創世記」です。
それでは具体的に観て行きましょう。
旧約聖書の9つの場面が描かれています。それは、暗闇からの光の分離(創世記1,1-5)、星と植物の創造(創世記1,11-19)、水からの地球の分離(創世記1,9-10)、アダムの創造(創世記1,26-27)、イブの創造(創世記2,18-25)、元の罪と地上の楽園からの追放(創世記3,1-13.22-24)、ノアの犠牲(創世記8章) 15-20)、普遍的な洪水(創世記6,5-8,20)、ノアの酔い(創世記9,20-27)です。
9つの画面の内、5つの小画面は枠取りがされ、それぞれ4体の青年裸体像によって支えられています。9場面の下方、および礼拝堂の両端部には、キリストの誕生を預言した12人の男女(預言者と巫女)の像があります。礼拝堂の窓の上方の半月形壁(ルネッタ)にはキリストの祖先たちの像が描かれ、画面中には彼らの名前も書かれています。そして、四隅の大きな逆三角形壁面には、聖書の劇的な場面が描かれています。
バチカン宮殿のシスティーナ礼拝堂所蔵。
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聖母の戴冠 ラファエッロ・サンツィオ

古典主義絵画の祖のイタリア画家、ラファエッロ・サンツィオの作品(1504年頃)です。
本作の主題は、聖母マリアの戴冠式です。聖母の戴冠とは13世紀から15世紀にかけて、特にイタリアで人気のあったキリスト教美術の主題でした。
それでは具体的に観て行きましょう。
本作は二部構成になっており、上下の関連した場面が描かれています。上には、天国、下には地上。上の絵では、天使たちが妙なる音楽を奏でる中、キリストによって聖母マリアが冠を受けています。
下では、聖母マリアの墓を取り囲んでキリストの使徒たちが集まっています。聖母マリアの身体は腐敗することなしにそのまま天国に引き上げられたため、墓の中は空で、聖母の純潔の象徴である白百合が咲いています。
聖トマスが手に持っているのは、聖母マリアが彼女の聖母被昇天の証拠として落とした腰帯です。使徒たちは目の当りに展開される天国の光景を見上げています。
バチカン美術館所蔵。
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枢要徳 ラファエッロ・サンツィオ

古典主義絵画の祖のイタリア画家、ラファエッロ・サンツィオの作品(1511年頃)です。
バチカン宮殿の「署名の間」に飾られているフラスコ画で、横幅が6.6mもある作品です。ラファエッロは、「聖体の論議」、「アテナイの学堂」、「パルナッソス」を制作した後、4番目の作品として本作品を描きました。
それでは具体的に観て行きましょう。
枢要徳(すうようとく)とは、古代ギリシア以来の西洋の中心的な徳目で、知慮・思慮・知恵、勇気、節制 、正義の4つの徳から成ります。本作では、枢要徳を牧歌的な風景の中にいる3人の女性と天井のトンド(円形の絵)で、神学上の徳(信仰、希望、愛)をキューピッドとして擬人化して描かれています。
知慮・思慮・知恵は、上部中央で鏡を見ている女性として描かれています。その後ろでは、希望のキューピッドが燃えさかるトーチを持っています。勇気は、慈愛のキューピッドが揺さぶっているオークの枝を持つ女性。節制は、手に手綱を持ちながら信仰のキューピッドを見つめる女性として描かれています。信仰のキューピッドは、右手で空を指差しています。枢要徳の4つ目の徳である正義は、天井のトンド(円形の絵)の中にに鱗と剣を持って描かれています。バチカン美術館所蔵。
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+2

アテナイの学堂 ラファエッロ・サンツィオ

古典主義絵画の祖のイタリア画家、ラファエッロ・サンツィオの作品(1511年頃)です。
このフレスコ壁画は、盛期ルネッサンス期の最高傑作の一つと言われており、ラファエッロの作品の中で最もよく知られている作品です。「聖体の論議」「パスナッソス」と共にバチカン宮殿の署名の間に飾られています。
それでは具体的に観て行きましょう。
古代の偉大な科学者、数学者、哲学者たちが描かれています。彼らはそれぞれ異なる時代に生きていましたが、絵の中では一緒に描かれています。
21人の男性が学堂で仕事をしたり、会話をしたり、ゲームをしたりしています。この絵の全体像の中で、建築物の中央の消失点に2人の著名な人物が描かれています。
それは、アリストテレス(右)とプラトン(左)です。プラトンは白髪の賢そうな老人で、「ティマイオス」手にしています。また学堂内にはたくさんの彫像があります。そのひとつが、ギリシャ神話の音楽・光・弓の神であるアポロンの像で、竪琴を持っています。知恵の女神であるアテナやミネルバの像も描かれています。また有名なギリシャの数学者ピタゴラス、アラビアの哲学者アヴェロエス、ユークリッドやアルキメデス、ペルシャの天文学者・哲学者ゾロアスター、キニク派の哲学者ディオゲネス、画家ソドマ、建築家ブラマンテなども描かれています。
プラトンとアリストテレスの頭上にはドーム状の部分があり、市松模様の床、水平な平面、柱など、全体的に豊かな雰囲気を醸し出しています。
バチカン美術館所蔵。
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+3

パルナッソス ラファエッロ・サンツィオ

古典主義絵画の祖のイタリア画家、ラファエッロ・サンツィオの作品(1511年頃)です。
本作はバチカン宮殿の「ラファエッロの間」に展示されている作品です。「ラファエッロの間」は、哲学、宗教、詩作、法律の4つの部屋で構成されています。本作品は詩作に展示されています。
それでは具体的に観て行きましょう。
「パルナッソス」は、音楽や叙事詩の聖地とされるギリシアの山で、音楽や弓、医術、予言を司るとされる太陽神アポロが祭られています。ラファエッロがパルナッソス山を絵の舞台に選んだのは、デルフィがその斜面にあったからだと言われています。
デルフィは、詩や音楽などの芸術を司るアポロン神の聖なる神殿があった場所で、太陽神アポロンが中心的存在でした。本作では、木の下で休んでいるアポロンがリラ・ダ・ブラッチョを演奏し、その周りをさまざまな著名な詩人や9人の女神たちが取り囲んでいます。
当時の絵画は主に卵テンペラが使われていましたが、ラファエッロの絵を見ると、影の深さや色の豊かさを表現するために、先進的に油絵の具を使ったと考えられています。
バチカン美術館所蔵。
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+2

神殿から放逐されるヘリオドロス ラファエッロ・サンツィオ

古典主義絵画の祖のイタリア画家、ラファエッロ・サンツィオの作品(1511年頃)で、マカバイ記の物語を題材にした幅750cmのフレスコ画です。本作が展示されている部屋は、本作の名前にちなんで「ヘリオドロスの間」と言われています。
それでは具体的に観て行きましょう。
シリア王からエルサレム神殿の財宝を奪うために派遣されたヘリオドロスが、天の騎士に追われて神殿から追い出されている様子が描かれています。ヘリオドロスはフレスコ画の右下の部分で地面に倒れています。彼の頭上には、司祭の祈りに応えて神殿を守るためにやっきた騎手と二人の天使が描かれています。絵の左側には、2人の衛兵に椅子で運ばれた教皇ユリウス2世が描かれています。
注目すべき点は、絵の焦点を横にずらし中央に空間を作っています。そして、身廊が光で照らされ、天使の影のひとつが床の石のひとつにほぼ完全な円を描いています。このようなダイナミックな表現手法は、ラファエッロのその後のフレスコ画にも受け継がれています。
バチカン美術館所蔵。
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+2

聖体の論議 ラファエッロ・サンツィオ

古典主義絵画の祖のイタリア画家、ラファエッロ・サンツィオの作品(1510年頃)です。
バチカン宮殿内のラファエッロの間に飾られているフレスコ画(※1)です。
当時のラファエッロの間は、署名の間と呼ばれ、ローマ教皇の書斎で、教皇庁の法廷(最高裁判所)ともなっていました。
それでは具体的に観て行きましょう。
本作は、聖変化(※2)を議論する神学者たちを、天界と地上の両方に及ぶ一場面の中で描いています。
画面の上方では、光背に囲まれたイエス・キリストが、その左右には祝福された聖母マリアと洗礼者ヨハネを従えるデイシスの配置で描かれています。さらにその最上部には父なる神が天使たちと共に描かれています。天上界には、このほかにも様々な聖書の登場人物が描き込まれており、左端に座り鍵を握っているペトロ、その隣で裸の胸をむき出しにしているアダム、右端に座り本と剣を持つパウロ、右側で光の角を帯びて十戒が刻まれた石板を持つモーセなどが両側に描かれています。キリストの足元には白い鳩の姿に表象された聖霊が配され、その両脇にはプットたちが四つの福音書を開いて掲げています。
地上では、祭壇に聖体顕示台が置かれおり、その祭壇の両側に、聖変化を議論する神学者たちが描かれています。祭壇の左側に腰掛ける教皇グレゴリウス1世とヒエロニムス、そして、祭壇の右側に腰掛けるアウグスティヌスとアンブロジウスといった4人の古代の教会博士がいます。他には、教皇ユリウス2世、教皇シクストゥス4世、サヴォナローラ、ダンテ・アリギエーリもいます。本作品の下の方には金色の服を着た教皇シクストゥス4世、そして、そのすぐ右隣りにいるのがダンテで、赤い服を身にまとい、月桂冠かぶっています。左下隅で、本を片手に手すりに寄りかかっている禿頭の人物は、ラファエッロの恩師でルネサンス期の建築家ブラマンテです。
※1:フレスコ画とは、壁に新鮮で生乾きの状態の漆喰を塗り、それが乾かない間に水で溶いた天然の顔料で描く手法。
※2:聖変化とは、カトリック教会のミサや正教会の聖体礼儀において、パンとぶどう酒がイエス・キリストの体(聖体・聖体血)に変化すること。
バチカン美術館所蔵。
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キリストの変容 ラファエッロ・サンツィオ

古典主義絵画の祖でイタリア画家、ラファエッロ・サンツィオの作品(1519年頃)です。
本作はナルポンヌ大聖堂の祭壇に掲げるべく、ナルポンヌ司教の枢機卿ジュリオ・デ・メディチより依頼され制作された祭壇画で、ラファエッロのキャリアの集大成と言われる作品です。本作を描いた後、1520年にラファエッロは37歳の若さで亡くなりました。
それでは具体的に観て行きましょう。
本作は、イエス・キリストが高い山で、預言者であるモーセとエリヤと語り合いながら白く光り輝く姿を弟子たちに示したと聖書に記された出来事を描いた作品です。主題に添った上部の場面と、下部の悪魔に取り憑かれた少年の治癒物語の場面の2場面構成となっています。下部の民衆がキリストを指し示すことによって、聖書の記された場面を一枚の画面に結び付けています。
弟子を率いてガリヤラのタボール山に登り、キリストが丘の上に立ったとき、キリストの身体が輝きを発し上空に浮かび、両脇からモーセとエリヤが現れ、天から「これは我が子(神の子)なり」と告げられた。新約聖書に記されるその劇的な一場面を、ラファエッロは鮮やかな色彩と巧みな構図で描きました。
そしてその下では己が神であることを示したキリストを目の当たりにし、地上にひれ伏す弟子(聖ペテロ、聖ヤコブ、聖ヨハネの三人)が描かれています。
バチカン美術館所蔵。
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荒野の聖ヒエロニムス レオナルド・ダ・ヴィンチ

15-16世紀イタリアの画家、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品です。
シリア砂漠に隠遁して聖人としての生活を送っていた、西方カトリック教会の4博士の一人である聖ヒエロニムスの壮年期の姿を描いたものです。
それでは具体的に観て行きましょう。
聖ヒエロニムスは岩場にひざまずき、絵の右端にかすかに描かれている十字架を見つめています。聖人が苦痛の表情を浮かべているのは、砂漠地帯を何日も放浪し満身創痍になりながら神への祈りを捧げているからです。
足元にはライオンがいます。ヤコブス・デ・ウォラーギネの「黄金伝説」によると、ある日聖ヒエロニムスが彼の修道院の修道士に聖書を説いていると、傷ついたライオンが現れ、その傷ついた足を聖ヒエロニムスが治してやったと言われています。
聖ヒエロニムス像の斜めに捻れた形状が斬新です。聖ヒエロニムスの角張った形状と絵画底面を横切るライオンのしなやかなS字形状が対照をなしています。
バチカン美術館所蔵。
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