市場にて ポール・ゴーギャン

フランスのポスト印象派の画家、ポール・ゴーギャンの作品(1892年)です。
ゴーギャンのエジプト好きは、よく知られていますが、本作はエジプトの壁画の写真から着想を得て製作されました。
それでは具体的に観て行きましょう。
本作は、タヒチの首都パペーテの市場の様子を描いています。しかし、果物や魚などを売る様子は描かれていません。描かれているのは、派手に着飾った女たちです。女たちは着飾って媚びを売るような表情を見せ、自分の体をフランス人に売り込んでいるです。ベンチに横に並んだ女たちの様子が、いかにも売り物の陳列のように見えます。
本作はエジプトの壁画の写真から着想を得て製作したと言われています。ポーズや横向きの体、顔つきなどをそのままタヒチの女性に当てはめ、様式化された単純なリズムを作り出しています。
スイスのバーゼル美術館所蔵。
<MAP>

+3

果物籠とレモンのある静物 ポール・ゴーギャン

フランスのポスト印象派の画家、ポール・ゴーギャンの作品(1880年)です。
本作はクロード・モネ、ピサロ、ルノワールを含む先輩たちの影響を受け、印象派のスタンダート的な作品ですが、後にゴーギャンが描く絵の特徴も垣間見れる作品です。
それでは具体的に観て行きましょう。
テーブルの上の果物籠とレモンを描いた作品です。右奥に描かれている動物は、白鳥なのか、ガチョウなのか、それとも幽霊なのか。そして何故、長い首を180度回転させて、頭を自分の周りに持ってきてループを形成しているのだろうか?
この神秘的な動物は、静物画に思考を求めるある質を与えています。
また、テーブルクロスの特殊な描き方は、ポール・セザンヌの影響を強く受け、輪郭と影で特殊な効果を出す描き方をしています。しかし、白い布の位置と構造は、セザンヌのものとは異なり、意識的に外部の現実から目を逸らすこと、色の輝き、抽象的な傾向があります。これは、後にゴーギャンが南洋で描いた絵の特徴でもあり、あらゆる状況下での楽園を伝えようとしているが、避けられない憂鬱さが漂っています。
白鳥のようなガチョウは、そのことを予兆しているのかもしれません。
スイスのラングマット美術館(バーデン)所蔵。
<MAP>

+3

あなたはいつ結婚するの? ポール・ゴーギャン

フランスのポスト印象派の画家、ポール・ゴーギャンの作品(1892年)です。
ゴーギャンがタヒチで描いた作品の中で一番高値が付いた作品と言われています。タヒチ語の題名は「ナフェア・ファア・イポイポ」。当時のゴーギャンは通常、タヒチ語で絵に題字をつけていました。ゴーギャンはタヒチ語に魅了されていましたが、初歩的なレベル以上には上達しなかったと言われています。
それでは具体的に観て行きましょう。
本作に描かれている地面は緑、黄色、そして青で塗られています。地面には2人の女性が座っています。その内一人はタヒチ島の伝統服装を着ており、もう一人はヨーロッパ風のドレスを身に纏っています。
伝統服を着ている女性が左耳に付けている花は彼女が出会いを求めている事を示しており、ドレスを着ている女性のジェスチャーは仏教の芸術から由来すると言われます。また、その仏教のジェスチャーは日本の絵画作品からインスピレーションを受けたのではないかとも言われています。
南国タヒチの強烈な光や香りを感じさせる、異国情緒に溢れた風景の中で語らう二人の若い女性は、健康的な美しさと奔放な性的官能性が混在した独特の雰囲気を醸し出しています。
この両者と風景の描写は伝統的な写実性を捨て、輪郭線と色面によって平面的に構成するクロワゾニスムの手法が用いられており、原色的色彩の表現は独特の調和性を感じさせながら、観る者の目を強く惹きつけます。
さらに画面上部から橙色(空)、深い青(遠景の山)、黄緑色(中景の草地)、明瞭な水色(水溜り)、山吹色(女らが腰を下ろす大地の色)、そして最前景の深い緑色(草地)と明確に隔てられた色彩的対比と強弱が素晴らしい作品です。
スイスのバーゼル美術館所蔵
<MAP>

+2

赤いチョッキの少年 ポール・セザンヌ

フランスのポスト印象派の画家、ポール・セザンヌの作品です。
セザンヌが、初めて一流のモデルを使って描いた作品で、モデルに様々なポーズを取らせて、この作品を含む4点の油絵と2点の水彩画を描きました。
それでは具体的に観て行きましょう。
それまでのセザンヌの作品と比べて全体がずっと整理され、色彩も鮮やかに描かれています。中央の少年の右腕が長く引き伸ばされ大きく描かれています。それは、袖のついている左腕と比較するとよりはっきり判ります。しかし、この絵からは、右腕の異常な大きさにあまり違和感は感じません。
少年の右腕は、絵画画面の中心にどっしり大きく据えられた大黒柱のようなもので、全体に安定感を与え、それを通じて、画面に美しさと奥深さを生じさせているのです。
そして、鮮明な赤チョッキに強いインパクトを感じます。 少年の身に着けた、赤、白、青が魅惑的です。 少年が肘をついている椅子の緑も、並大抵の色ではありません
「色彩が豊かになるほど形が豊かになる」というセザンヌの言葉の実践がこの作品に表れています。少年の長く伸びた腕を覆うシャツ、右端のソフアの上に載る四角い紙は光を反射して白く輝き、その周囲に配された、ボリュームのあるカーテン、少年の膝をつく椅子の濃い色調と、鮮やかな対比を見せています。
チューリヒのビュールレ・コレクション所蔵。
<MAP>

下記はセザンヌが本作と同じモデルを使って描いた、残り3作の油絵です。

+3

花と女性 パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソの作品です。
ピカソのシュルレアリスム(超現実主義)の時代に描かれたものです。
それでは具体的に観て行きましょう。
描かれているのは、ピカソの愛人となったマリー・テレーズで、女と花を重ねあわせて描いています。女の頭と花の房は両方とも豆のような形をしており、花の房が彼女の髪の毛と対応し、茎が腕と対応していています。
ピカソはシュルレアリスムから各々の物体をほかの物体に置き換えて表現すること(ダブルイメージ(※1))が可能であることを学んだのでした。
※1:ダブルイメージとは、絵の中に、よく注意して見なければわからないように工夫して、他の絵を描き込んであるもの。
スイスのバーゼル美術館所蔵。
<MAP>

+2

舟と少女(マヤ・ピカソ) パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソの作品で、娘のマヤを描いたものです。
苦痛や残酷性をテーマにすることが多いピカソですが、本作品はきわめて日常的で明るい作品です。色彩も独特で、チェック柄の絨毯の上で無邪気に遊んでいる娘の姿が映し出されています。
ピカソのキュビスム表現主義の時代(※1)の作品。
スイスのローゼンガルト・コレクション所蔵。
※1:キュビスム表現主義の時代(1937年 – 1973年):ピカソがキュビスム表現主義的な作品を多く残した時代
<MAP>

+1

アルルの病院の庭 ファン・ゴッホ

オランダのポスト印象派の画家、フィンセント・ファン・ゴッホの作品です。
本作は、いわゆる「耳切り事件」の後にゴッホが入院したアルルの病院の庭を描いたものです。この庭はゴッホのお気に入りでした。
それでは具体的に観て行きましょう。
庭の中央に小さな噴水があります。その周囲には美しい花壇が八方に広がっています。庭の情景をやや斜めの視点で捉えながら、画面手前の左右へ配される二本の木々と、その間の背の低い4本の植木が垂直を強調され、観る者の視線を画面の中央へと導きます。
さらに画面奥の病院施設の二段の廊下の壁面と複数の柱に用いられた色彩により、庭の花々の生命感を引き出させています。
スイスのオスカー・ラインハルト・コレクション所蔵。
<MAP>

+3

夜 フェルディナント・ホドラー

19世紀から20世紀初頭のスイスの画家、フェルディナント・ホドラーの作品です。
ホドラーは、19世紀末の時代を象徴した画家の一人です。作品には「死」や「夜」をテーマとしたものが多く、グスタフ・クリムトと並んで世紀末芸術の巨匠と言われています。
それでは具体的に観て行きましょう。
この作品のタイトルは「夜」ですが、「死」を扱っています。
何人かの人々が思い思いの格好で眠っています。その中で、中央の男性だけが目を覚まして、怯えた表情で起き上がろうとしています。
彼が怯えているのは、黒い布をすっぽりと被った不気味な存在に対してです。この不気味な存在は、生への不安と恐れ、あるいは突如出現した「死」を表しています。
そして、周りの人々は「安心して」眠っているように見えます。しかし、安穏とした人生に死は突如として訪れ、誰もが逃れることができない事をこの絵は表しています。
スイスのベルン美術館所蔵。
<MAP>

+2

夜明けのセーヌ シャルル・アングラン

フランスの新印象派画家、シャルル・アングランの作品です。
アングランは、スーラに影響を受け、点描と色彩分割手法で多くの絵画を描きました。
特に点描で、原色の組み合わせではなく、より中間色を使った描写がアングランの特徴です。
それでは具体的に観て行きましょう。
アングランは、非常に細かい点描を用いてセーヌ川を描き、全てがシルエットによって表現されています。遠くにはセーヌ湖畔の工場の煙突が見え、人物の乗った一艘の小舟からは孤独感が感じられます。
ジュネーブのプティ・パレ市立美術館所蔵。
<MAP>

+4