ボールに乗った女道化師 パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソの青の時代と薔薇色の時代の中間に位置する作品です。
青の時代には青一色であった画面に、灰色や、そして次第に暖かい赤色が加えられていきます。主題も憂鬱感や社会的疎外感から、次第に薔薇色の時代の陽気さや楽観主義へと変わっていきます。
それでは具体的に観て行きましょう。
この作品のピンク色の色調は「薔薇色の時代」のものです。但し少女のコスチュームは薄ら寒い灰色で、彼女のしなやかな体はやや異彩を放っています。柔軟な彼女の体、丸みを帯びたポーズ、弾むようなボールの形は、角ばった筋肉質で四角い箱の上にどっしりと構える巨大な男性と対極をなしています。
繊細な乳白色、ピンクそしてブルーの色調で満ちた画面、青青の時代とは異なった新たな空気の感覚、そして対象物間の空間の美、青の時代から薔薇色の時代への過渡期の作品でありながら、本作は薔薇色の時代の代表作の一つと言われています。
モスクワのプーシキン美術館所蔵。
<MAP>

1+

アンブロワーズ・ヴォラールの肖像 パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソの分析的キュビスムの時代(※1)の作品です。
本作品のモデルはフランスの美術商、アンブロワーズ・ヴォラールです。ヴォラールは、ピカソを含む当時無名の画家に対して物質的・精神的な援助をしました。
それでは具体的に観て行きましょう。
画面を切り込むような線が何本もあり、それらが切り子のような面がランダムに並べられています。ヴォラールは、厳しい表情で描かれていますが、光を微妙に当てることにより、平坦にリズム感を加え、画面の中から顔が浮かび上がって来るように工夫されています。
人や物を平面に細分化、解体し、画面上で組み合わせたり重ねたりすることで、遠近法で表される空間とは異なった空間を表現しています。
※1:分析的キュビスムの時代(1908年 – 1912年):プロトキュビスムの時代(1908年 – 1909年)から更に分析が進み、対象が徹底的に分解され、何が描かれているのか識別することが困難なところにまで進んでいきました。
モスクワのブーキシン美術館所蔵。
<MAP>

2+

刑務所の中庭 ファン・ゴッホ

オランダのポスト印象派の画家、フィンセント・ファン・ゴッホの作品です。
本作は、ゴッホが精神病院「サン・ポール」入院時に描かれたものです。
地面のブルーから上に向かって徐々に黄色に変化しているのは、まさにゴッホの世界です。
それでは具体的に観て行きましょう。
高い壁に囲まれた刑務所の中庭で、33人の囚人が整然と円を描くような歩行運動を行っています。囚人達の表情は全く覇気がなく希望を感じられず、まるで出口の見えない迷路を彷徨っているかのようです。その中で唯一、一番手前で歩いている金髪の男だけが本作品を観る者へ僅かに視線を向けており、入院中のゴッホの自由への渇望が表れています。
さらにゴッホの精神状態を反映させたかのような刑務所の高い塀へ、眩いほどの明瞭な光が最も強く当てられている点や、判り難いですが画面上部やや左側の二匹の白い蝶の存在から、ゴッホの希望を失っていないことが伺えます。
モスクワのプーシキン美術館所蔵。
<MAP>

3+