採石場とサントヴィクトワール山 ポール・セザンヌ

フランスのポスト印象派の画家、ポール・セザンヌの作品です。
セザンヌはサント・ヴィクトワール山を数多く描いてます。初期の作品では、山は遠くに描かれ、大パノラマの中にあることで、より大きな安らぎを与えていました。
しかし本作では、山は近くに描かれています。しかし、以前よりも更に近づけないようにしています。
それでは具体的に観て行きましょう。
観る者と主な対象との間に奈落の底を置き、その隙間から対岸の岩と聳え立つ山頂を見るように配置することで、風景そのものをドラマチックに描がいています。
しかし、これらは観る者の領域の外にあり、近づくことはできません。山は、まるで木々に囲まれた岩の巨大な台座の上に置かれているようです。
前景の壁は古典的な対称性はなく、複雑でダイナミックな形になっていると同時に、その高さと緊張した上向きの動きは、空間の中でより顕著になっています。凸状の底部にある深い垂直の裂け目が、採石場の壁を二つに分け、大きな圧力の中での落ち着きのない効果を加えています。
山は近くにあるものと同じくらいはっきりとしていて、下にある木々のぼんやりとしたシルエットと比較すると、更にはっきりとしています。そして、前景から遠景に移るにつれて、対象はより大きくなっています。
前景と遠景には似た緑があり、遠く離れた平面を共通のアクセントで結びつけています。オレンジ色の岩と青空というコントラストは、最も遠い空間と最も近い空間を結びつけています。セザンヌ以前の風景画で、オレンジと青がこれほど光り輝くコントラストで描かれているものは殆どなく、セザンヌの革新性が見て取れます。
アメリカのボルチモア美術館所蔵。
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