干し草車

同時代のウィリアム・ターナーと共に、19世紀イギリスを代表する風景画家、ジョン・コンスタブルの代表作です。
コンスタブルは伝統的な風景画様式から逸脱し、風景の中に己が感じる美しさを独自の感覚で捉え表現しました。また、いつの頃からか、画面のアクセントとして赤い色を使うようになりました。
それでは具体的に観て行きましょう。
この作品もコンスタブルの故郷の光景です。犬だけが顔を上げ、空の荷馬車がウイリー・ロットの家の脇でストゥア川を渡って、遠景の牧草地に向かおうとしています。
今にもパタパタと動き出しそうな犬の尻尾は、僅かなタッチで表現され、小川の輝きも、粗い塗りの白いハイライトに過ぎません。それでいて明るく輝いています。
この素早いタッチ、新鮮な色彩、光の輝きに、コンスタブル独自の感覚が表現されています。そして、画面のアクセントとして、鞍に赤が使われています。
ロンドンのナショナル・ギャラリー所蔵。
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2+

麦畑

同時代のウィリアム・ターナーと共に、19世紀イギリスを代表する風景画家、ジョン・コンスタブルの作品です。
コンスタブルは伝統的な風景画様式から逸脱し、風景の中に己が感じる美しさを独自の感覚で捉え表現しました。
この作品はコンスタブルの故郷の光景です。夏の昼下がり、羊番の少年が澄んだ小川で喉の渇きを癒し、辺りには夏草が咲き乱れています。
黄金に色づく風景の中で、羊番の少年の赤い服がアクセントになっています。長閑で美しい田舎の一場面を描いた作品です。
ロンドンのナショナル・ギャラリー所蔵。
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2+

雨、蒸気、速力:グレート・ウエスタン鉄道

19世紀イギリスのロマン主義の画家、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーの晩年の傑作です。ターナーは、写実的に描くのではなく、雲、光、風、大気等をメインに描く作品を多く残しました。
それでは具体的に観て行きましょう。
雨が横殴りに降り、霧が一面に立ちこめる中で、蒸気機関車が猛スピードで近づいています。鉄橋の下には川が流れていますが、その川も陸も空もほとんど見分けがつきません。
ターナーは「蒸気と速力」そのものをメインに、本作を描いているのです。
ロンドンのナショナル・ギャラリー所蔵。
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3+

解体されるために最後の停泊地に曳かれてゆく戦艦テメレール号

19世紀イギリスのロマン主義の画家、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーの代表作です。
ターナーは、自らの理想とする光と大気の世界を追い求めました。
この作品中でも画面を大きく占めている夕日が印象的です。薄く塗られた絵の具に対し、夕日の部分だけ厚く塗られています。
戦艦テメレール号が、これから解体される場面を描いていますが、本当は昼間の時間帯だったそうです。
しかしターナーは終焉としての意味を持たせるために、あえて夕景として描いたのだと言われています。
ロンドンのナショナル・ギャラリー所蔵。
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3+

ひまわり(4作目)

オランダのポスト印象派の画家、フィンセント・ファン・ゴッホの代表作です。
ゴッホは「ひまわり」を7点制作し、このうち6点が現存しています。
本作品は、ゴッホが描いた4作目の「ひまわり」です。「ひまわり」の花の数は、3作目よりも更に増えています。ゴッホにとって黄色は「聖なる色」であり、本作では、背景まで黄色で統一されています。
ロンドンのナショナル・ギャラリー所蔵
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2+

荊冠のキリスト

15世紀ルネサンス期のネーデルラント(フランドル)の画家、ヒエロニムス・ボスの作品。
ボスの絵画は、聖書に基づく寓話を題材にした幻想的で怪異な作風が特徴であり、それぞれの主題や制作意図も謎に満ちていると言われます。その作風はピーテル・ブリューゲルを始めとする後世の画家に大きな影響を与えました。
それでは、本作を見て行きましょう。
主題はキリスト受難の逸話「裁かれるキリスト」です。マルコ伝によると「兵士たちはイエスを総督官邸に連れて行き、紫の衣を着せ、荊冠を編んで被らせた」となっています。左の兵士は荊冠をイエスにかけようとし、右下の男は衣を着せかけています。しかし衣の色は紫ではなく、やや赤みかかった白です。
これはボスの創意で、白い衣とキリストの白い顔を無垢なものとして浮かび上がる事を狙っていると言われていますが、本当のところは謎です。
ロンドンのナショナル・ギャラリー所蔵。
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2+

受胎告知

15世紀のヴェネツィア画家カルロ・クリヴェッリの代表作。
カルロ・クリヴェッリは、遠近法と金属的で硬質な線描を用い、古典芸術を表現した画家です。
この作品でも、当時最新の絵画理論であった遠近法を大胆に使い、金属的で硬質な線描で狭い空間が描かれ、カルロ・クリヴェッリの画風が遺憾なく発揮されています。
また登場人物も個性的で、祈祷台で祈る聖母マリア、父なる神の意志を示す白い鳥に姿を変えた聖霊、聖胎を告げる大天使ガブリエル、大天使ガブリエルの隣では、アスコリ・プチェーノ市の模型を持つ同市の守護聖人エミグディウスが描かれている逸品です。
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2+

シュザンヌ・フールマンの肖像

ピーテル・パウル・ルーベンスの代表的な肖像作品。
ルーベンスの内面をも描き出す洞察力と、それを的確に表現する描写力が存分に発揮された作品です。
具体的に見て行きましょう。
透明に輝く白い肌とピンクに染まった頬、大きな瞳、丸々しい肉感的な人物描写。
そして身なりの良い洗練された衣装。そこには、女性としての柔らかさと優しさが感じられます。
そして何よりも注目すべきは、女性の力強い眼差し。被写体の凛とした内面をも見事に表現された作品です。
ナショナル・ギャラリー(イギリス)所蔵。
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3+

ミッデルハルニスの並木道

オランダ画家メインデルト・ホッベマの代表作。17世紀のオランダ風景画に於いて、最も有名な作品のひとつです。
斬新かつ均衡がとれた構図。そして、鑑賞者を画面へと引き込む為に、様々な仕掛けを張り巡らした作品です。
それでは具体的に見て行きましょう。
地平線を低くとり、大地の広がりの中央手前から一直線に伸びる並木道が、シンメトリーの構図で描かれています。そして雲の配置は、北国の冷たく澄んだ、さわやかな空気と湿った大地を連想させます。
また前景に描かれたポプラの木と奥のポプラの木では、高さが大きく異なっています。この効果により、一段と高い塔をもつ教会がある村までの距離は、見た目以上に遠い事が判ります。
そして、肩に銃を乗せた狩人が、犬を連れてこちらに歩いて来ています。狩人の頭が、遠近法における消失点と一致していて、狩人とは、いずれすれ違うのではないかと思わせます。鑑賞者の視線は、ふと気が付くと中央の景観に引き込まれています。
ナショナル・ギャラリー(イギリス)所蔵。
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2+