スープ パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソの青の時代(※1)の作品です。
ピカソが本作製作で、影響を受けたと言われるのが、パリのパンテオンのシャヴァンヌ作壁画の一場面、「パリに食料を与える聖ジュヌヴィエーヴ」です。そこには道で施しを受ける人々の様子が描かれています。それでは具体的に観て行きましょう。
母親はうなだれるようにしてスープの入った皿を両手に持ち、それに向かって子どもが両手を高く差し出してスープ皿を受け取ろうとしています。
その表情には、食べること、つまり生きることへのこだわり、勢いのようなものが出ています。実際子どもは、待ちきれないような様子で母親の方へと走り寄っているようです。
ピカソは青の時代を通じて母子像を多く描きました。それらの多くは、どこかさびしく、悲惨さを感じさせ、親子の情愛の喜びといったものとは縁遠い雰囲気のものでした。
しかし本作では、雰囲気が異なっています。母親も子供も決して幸福そうな表情をしていない点では、他の悲しげな雰囲気の母子像と共通性を感じさますが、生きることへの勢いを感じさせます。
ピカソが、シャヴァンヌの「パリに食料を与える聖ジュヌヴィエーヴ」から影響を受けたのは「生きることへのこだわり、勢い」に違いありません。
※1:青の時代(1901年 – 1904年):ピカソが19歳のとき、親友のカサヘマスが自殺したことに大きなショックを受け、鬱屈した心象を、無機顔料の青を基調に使い、盲人、娼婦、乞食など社会の底辺に生きる人々を題材にした作品を多く描いた時代。
カナダのオンタリオ美術館所蔵。
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