アルジャントゥイユのひなげし クロード・モネ

19世紀フランス印象派の巨匠、クロード・モネの作品です。
対比的な色彩の使用と画面構成が特徴的な作品です。
それでは具体的に観て行きましょう。
夏のアルジャントゥイユ郊外の坂道を日傘を差した母娘らが下ってくる姿を描いた作品です。似たような親子が前後二組描かれています。彼らを互いの距離感を示すと共に、時間的推移も暗示しています。
そして、対比的な色彩の使用と画面構成。ほぼ中央から上下に分けられる画面は、上部が空の青色と雲の白色、下部がひなげしの赤色と叢の緑黄色が支配しています。
特にひなげしの赤色と空の青色との対比は、観る者に爽快感と強い印象を与えています。また、白色、緑黄色を的確に配置することによって、それらをより効果的に引き立たせています。
さらに、水平に背の高い木々や一軒の家屋を連ね、ほぼ水平線上へ描くことで上下が分離し過ぎず、画面内に統一感を持たせることに成功しています。
オルセー美術館所蔵。
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カサカギ クロード・モネ

印象派を代表するフランスの画家、クロード・モネの作品です。
本作品は、モネによって描かれた約140ある雪景色の作品の一つで、色付きの影を使用した最初の作品と言われます。
それでは具体的に観て行きましょう。
白の中の黒いかささぎが印象的な雪景色をとらえた作品。モネは太陽の光の輝きを受けて青い影を創り出している新雪を描きました。
モネは本作品で、青い影を使用して、自然の中で見られる光と影が実際の変化する状態を表現し、影を黒く塗るという従来の慣習に挑戦しました。
後の印象派に大きな影響を与えた作品です。
オルセー美術館所蔵。
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エミール・ゾラの肖像 エドゥアール・マネ

印象派の創設に影響を与え近代美術の父とも呼ばれる、19世紀フランスの画家エドゥアール・マネの肖像画の代表作です。
マネは、筆跡を感じさせる流動的な線と伝統的な形式にとらわれない自由で個性的な色彩を用い、近代の日常、風俗、静物、歴史、肖像、裸婦、風景など様々な絵を描きました。また日本の浮世絵・版画の影響を受けたとも言われます。
それでは具体的に観て行きましょう。
本作ではエミール・ゾラの肖像として作品に名称を付けながらも、マネが持つ自身の興味(スペイン絵画や日本趣味)を中心に画面を構成しており、マネ本人の関心を描いた静物画的人物画です。
その証拠に壁にはマネの代表作「オランピア」の版画や、ディエゴ・ベラスケス作「バッコスの勝利(酔っ払いたち)」のエッチング、そして、二代目歌川国明による多色刷浮世絵木版画「大鳴門灘右ヱ門」が飾られ、いずれもゾラへと視線を向けています。
オルセー美術館所蔵。
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笛を吹く少年 エドゥアール・マネ

印象派の創設に影響を与え近代美術の父と呼ばれる、19世紀フランスの画家エドゥアール・マネの代表作です。
マネは筆跡を感じさせる流動的な線と伝統的な形式にとらわれない自由で個性的な色彩を用い、近代の日常、風俗、静物、歴史、肖像、裸婦、風景など様々な絵を描きました。また、日本の浮世絵・版画の技法に影響を受けたとも言われます。
それでは具体的に観て行きましょう。
あどけなさの残る少年が、近衛軍の鼓笛隊の正式な制服で、横笛を吹くポーズをとっています。多少緊張した顔で、こちらに向けた眼差しは、ほんの少し右にそれています。
背景は、地の灰色が全体にいきわたり、床と壁の区別のない抽象的な空間があるだけです。人物は黒と赤の大胆な色面、白がそれらを引き立て僅かな黄色のアクセントが光る、シンプルで力強い全身像です。
堂々と迫力のある身体のフォルムに対して、少年の顔は、幼く頼りなさげです。そのアンバランスが、この絵をいっそう印象的なものにしています。
この作品はジャポニスムの影響を受けているという点でも有名です。
遠近感を廃し、人物の動きを効果的ながら最小限にとどめ、コントラストの強い色を平面的に用いている様は浮世絵の技法を感じさせます。
オルセー美術館所蔵。
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ニヴェルネ地方の耕作 ローザ・ボヌール

19世紀フランスの女流写実主義画家&彫刻家、ローザ・ボヌールの作品です。
ローザの主題は農村で、そこで生きる動物たちを多く描きました。畑を耕す牛や人を乗せた馬は農村の生命力の象徴であり、彼女は生き生きとした動物たちを描き続けました。
それでは具体的に観て行きましょう。
この作品は1849年のサロンに出品され、ローザの出世作となった作品です。ニヴェルネはフランス中部のロワール川沿いの農村地帯です。
この作品でもローザの関心は牛や馬などの動物たちにあります。農村の動物たちの逞しい姿は生命力に溢れ、観ている者に前向きなエネルギーを与えてくれます。
特に、よだれを垂らしながら思い農具を引く牛の描写は圧巻で、まるで写真のようです。
オルセー美術館所蔵。
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エトルタの絶壁、嵐の後 ギュスターヴ・クールベ

19世紀のフランス写実主義の画家、ギュスターヴ・クールベの作品です。
クールベは自然の中の動物を盛んに描いた、動物画家として有名です。そして晩年は、海の画家、波の画家としても広く知られるようになりました。
ここで描かれているノルマンディのエトルタ海岸の奇岩は有名で、モネをはじめ多くの画家に描かれました。
それでは具体的に観て行きましょう。。
クールベは、人々と逸話的な細部を排除し、陸と岩、空と海のバランスを際立たせています。それぞれの自然の要素を明瞭に描き、中でも左の岩の重量感、質感の描写は見事です。
そして、嵐のあとの日ざしが強く射し込む中、海には白波が立ち、まだ灰色の雲も遠くの方にかかっています。雨の後の空気感が伝わってくる作品です。
オルセー美術館所蔵。
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耕地へ向かう牛 コンスタン・トロワイヨン

19世紀のフランスのバルビゾン派の画家、コンスタン・トロワイヨンの作品です。
バルビゾン派は、フランスのバルビゾン村やその周辺に画家が滞在や居住し、自然主義的な風景画や農民画を写実的に描いた、絵画の一派です。
トロワイヨンの他、コロー、ミレー、テオドール・ルソー、ディアズ、デュプレ、ドービニーの7人が中心的存在で「バルビゾンの七星」と呼ばれました。
トロワイヨンは風景画も描きましたが、出世作は動物画です。
朝の澄んだ光と大気の中、絵を見る我々の方に牛たちが向かってきます。逆光の中、牛たちが力強く向かってくる姿は圧巻で、観る人にやる気と勇気を与えてくれる作品です。
オルセー美術館所蔵。
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鹿の隠れ場 ギュスターヴ・クールベ

19世紀のフランス写実主義の画家、ギュスターヴ・クールベの作品です。
クールベは自然の中の動物を盛んに描いた、動物画家として有名です。
それでは具体的に観て行きましょう。
少しひんやりとして落ち着いた空気の流れる静寂の空間です。小鹿たちも心地よさそうに憩い、ここでは永遠が時を止めています。
可愛らしい小鹿が本当に安心して脚を投げ出している様子には、こちらまでほっと、解放感に満たされてしまいます。そこには、本当に生を営むものの優雅さ、そしてそうなるための無心な美しさがあふれています。
クールベは、人であれ動物であれ、そこに無心で存在するものに自らも無心で近づき、その喜びを力強く、またやさしく表現することのできる、自然に対して繊細で謙虚な画家でした。
オルセー美術館所蔵。
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首吊りの家 ポール・セザンヌ

フランスのポスト印象派の画家、ポール・セザンヌの初期の傑作。
1874年「モデルヌ・オランピア」とともに第1回印象派展に出品された作品です。
それでは具体的に観て行きましょう。
画面の前景に村の中心へと続く田舎道が画面の左から横切るように描かれ、その道の先には二軒の家が左右対称的な位置に配されています。
画面の中央や上部分に空いた空間には中景として村の家々が、さらに遠景にはオーヴェールの景観と青々とした空が広がっています。
ほぼ均一に当てられる陽光の処理や、画面右側の小屋の屋根の柔らかさの中に硬質性も感じさせる描写は、セザンヌ独特の質感表現と言われます。
オルセー美術館所蔵。
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