長い首の聖母

イタリアの画家パルミジャニーノの作品で、マニエリスムの中で最も優美な作品のひとつです。
それでは、マニエリスムの特徴からこの作品を観て行きましょう。
聖母マリアの身体はが長く引き伸ばされ、身をくねらせています。これがマニエリスムの特徴です。そして、どこか非現実的な明暗となまめかしい色彩と聖母マリアの魅惑的で艶かしい眼差しは、宗教的礼拝像としては、並外れて優美で官能的です。
また聖母マリアの膝で眠る幼児キリストの身体も引き伸ばされています。
聖母マリアの膝の上で安心してぐっすりと眠り込んでいるように見えますが、
青ざめた額と力なく垂れ下がる左腕は将来やってくる受難の悲劇を暗示しているかのようです。
フィレンツェのウフィツィ美術館所蔵。
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2+

大公の聖母

レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロと並ぶ盛期ルネサンスの三大巨匠の一人、ラファエッロ・サンティの作品。ラファエッロは多くの聖母子像を描きましたが、中でもこの作品は傑作として名高く、幾世紀にも渡り完璧な絵の典型とされてきました。
若きラファエッロは、レオナルド・ダ・ヴィンチの影響を受けたと言われます。この作品にもレオナルド・ダ・ヴィンチの影響が感じられます。
さて、レオナルド・ダ・ヴィンチから受けた影響とは何でしょうか?
それは、スフマート技法です。スフマート技法とは、深み、ボリュームや形状の認識を造り出すために色彩の透明な層を上塗りする技法です。
当時のルネサンス期のマリア像は、あまりに世俗的、官能的になり過ぎていると感じていた、ラファエロは、スフマート技法を用い、幻のように神秘的にかつ、優雅なバランスと調和を絵画上に実現しました。
甘美で心和む安心感ある作品。これがラファエッロの絵画です。
フィレンツェのウフィツィ美術館所蔵。
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2+

聖母子と天使たち

この作品は初期ルネサンスを代表するフィレンツェ派の巨匠、フラ・フィリッポ・リッピの名作と言われる作品です。
フィリッポ・リッピは、この作品で2つの画期的な試みを行っています。
具体的に見て行きましょう。
まず一つ目。通常イエスを抱いて描かれる聖母マリアが合掌してわが子を拝んでいます。これは後に「謙遜の聖母」と呼ばれ、マリアが自分の母性としての主張はせず、自分もまたイエスの下にあることを示しています。一方、聖母マリアの息子イエスを見つめる視線は、我が子への慈愛と未来への不安の表情が虚ろいながら複雑に入り混じり、聖母の感情を見事に表現しています。
そして、二つ目。それは背景の描き方です。窓の手前(室内)に聖母子を中心とする人物、窓の外に景色が描かれています。これは当時は斬新な構図で、レオナルド・ダ・ヴィンチの「空気遠近法」も、この背景の描き方をヒントに開発したと言われています。
フィレンツェのウフィツィ美術館所蔵。
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3+

聖アンナと聖母子

この作品は全体構想をマゾリーノが、聖母子と右上の天使をマザッチョが描きました。ウフィツィ美術館所蔵。
フィレンツェにあるサンタンブロージョ教会の依頼によって作成され、修道院の家に通じるチャペルのドアに飾られていました。
マザッチオは人物像のボリュームと確かな視覚構造を使いキャンバスの空間を満たすことに優れています。また、絵の中央にいる聖アンナと聖母子の周りに描かれている天使達は、マゾリーノのゴシック様式のブラシで描かれ、非常に柔らかい形と淡い穏やかな色合いで繊細に描写されています。
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1+

サンタ・トリニタの聖母

この作品は中世のイタリア人画家チマブーエによって描かれた作品です。
ジョットの『オンニサンティの聖母』、ドゥッチョの『ルチェライの聖母』と並べられて、フィレンチェのウフィツィ美術館に展示されています。
玉座の下部分に広く面積を割き、4人の預言者を描いています。預言者を描くことには象徴的な意味があり、アーチの中に上半身から上が描かれています。
アーチの中の預言者の両端にはエレミヤとイザヤがいて、処女懐胎によるキリスト誕生の予言を確認するかのような目で、玉座の下から赤ん坊を見上げています。
救世主である赤ん坊は、玉座の真下に描かれている2人、アブラハムとダビデの子孫にあたります。
本作は神の子であるキリスト、キリストの母、そして聖霊という三つの要素に焦点を置いており、三位一体を唱える教会に飾るにはうってつけの作品でした。
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3+

オンニサンティの聖母

この作品は中世後期のイタリア人画家&建築家のジョット・ディ・ボンドーネによって描かれた作品です。チマブーエの『サンタ・トリニタの聖母』、ドゥッチョの『ルチェライの聖母』と並べられて、フィレンチェのウフィツィ美術館に展示されています。
鋭角の三角形をした破風を持つゴシック建築のような玉座、人間味を帯びた聖母子の顔立ち、内に包まれた肉体の形体に沿って施された衣の襞(ひだ)、しっかりと地に足をつけた人物たち。ジオットは13世紀のフィレンツェ美術を厚く覆っていたビザンティン様式を拭い去り、自然主義という新しい観点を持ち込み、ルネサンス美術の扉を開きました。
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2+

聖家族

ルーカ・シニョレッリの作品。フィレンチェのウフィツィ美術館所蔵。
ミケランジェロはシニョレッリの仕事をいつも賛嘆していて、ミケランジェロの代表作「最後の審判」の制作では、シニョレッリの表現を参考にしたと言われています。
この作品の構図は、聖母マリアが聖書を読み、ヨセフがイエスを礼拝しています。この構図は15世紀以前には登場しないルネサンス的構図で、かつては聖母子だけだったのが、聖母マリアの夫のヨセフもクローズアップされています。
中世ではヨセフは付録的でしたが、その地位は市民社会の発展と共に上昇していきました。この作品では、ヨセフは権威ある強壮な人物で、聖母子の保護者として大きく描かれています。この構図が、後の三位一体の構図の基になっていると言われています。
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1+

ドーニ家の聖家族

ミケランジェロの作品。フィレンチェのウフィツィ美術館所蔵。
この作品はドーニ家の婚礼に際し、記念として家族礼拝用に制作されたものです。
画面は前後三層からなり、奥の空間が異教徒の律法無き時代、ヨセフのいる空間がユダヤ的律法の時代、聖母のいる空間が恩寵の時代でキリスト教から見た3時代を象徴しています。色調は鮮やかで影がない。これはミケランジェロが明暗と陰影ですべてを表現しようとしたレオナルドに対抗して、鮮やかな象徴的色彩を主張したものです。
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3+

受胎告知

サンドロ・ボッティチェッリの作品。フィレンチェのウフィツィ美術館所蔵。
チェスの盤のような床のシンプルな一室で、「受胎告知」のシーンが描かれています。開けられた窓の向こうには、川が流れ、穏やかな風景が広がっています。
受胎を告げる大天使ガブリエルは、たった今、地面に降り立ったかのようなジェスチャーをしており、衣服の軽やかな動きからもそれが感じられます。
聖母マリアの恐れおののいている様子を、わずかに膝を折る描写で表現しています。大天使ガブリエルが捧げ持つ白百合は、聖母マリアの「純潔」の象徴で、当時の「受胎告知」のシーンに、よく描かれました。
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2+