殺人 ポール・セザンヌ

フランスのポスト印象派の画家、ポール・セザンヌ初期(1868年)の作品です。
1866年から71年頃のセザンヌ作品に共通したテーマは、死とエロチシズムでした。
セザンヌは、人間の奥底に眠る狂気を描こうとしたのでした。
それでは具体的に観て行きましょう。
暗闇の水際で、男女2人がブロンドの髪の女性を殺そうとしています。今まさに刃を突き立てんとする男。たくましい両腕で被害者を抑えつける女。3人の関係を物語るものはなく、すさまじい殺意だけが、暗鬱な画面から伝わってきます。
威嚇するような空、死体が投げ込まれる川岸の暗示、荒涼とした周囲の空間など、すべてがシーンの威嚇的な性質を助長しています。
本作の三人の人物は三角形を形成しており、その平行な辺は反対方向への力を表しています。男性の殺人者の上着と足の動きから、この瞬間の力強さが伝わってきます。手足も同様の効果を得るために細長く歪んでいます。絵の具の扱いは重く、多くの部分で丸みを帯びています。
セザンヌが描いたのは、人間の奥底に眠る狂気でした。
リバプールのウォーカーアートギャラリー所蔵
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