キリストとサマリアの女


ボローニャ派を代表する画家の一人であるアンニーバレ・カラッチの作品。ウィーン美術史美術館所蔵。
この作品は、新約聖書のヨハネの福音書に記されている物語です。
ある日、キリストと弟子達はサマリア地方の町のはずれにあるシカルへと訪れていました。お昼時にキリストが一人で井戸のそばに座っていると、水がめを持ったサマリア人の女性が来たので、キリストは「水をください」とお願いしました。彼女が「ユダヤ人はサマリアを良く思っていないのに、どうして水を飲む事を頼むのですか?」と尋ねると、キリストはこう答えます。
「水を欲しいと言った者が誰であるかを知っていたら、あなたの方から願い出るだろう。その者は生ける水をあなたに与えただろう」と。そしてキリストは彼女に神の教えを説き、自分自身がメシア(救世主)であると伝えました。
サマリアの女性は町の人々のところへ行ってその事を伝えたので、メシアを信じた者はキリストの元へ駆けつけ、シカルの村のサマリアの人々は神の信者となったのでした。この出来事は、キリストの教えが異邦人の世界へと広まった最初のきっかけだったとされています。
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凸面鏡の自画像

パルミジャニーノの代表作。ウィーン美術史美術館所蔵。
パルミジャニーノは、マニエリスム初期から中期(15世紀)にボローニャやパルマ、ローマなどで活躍した、同時代を代表する画家です。
当時は平面鏡を製造する技術が確立されておらず、鏡といえば凸面鏡が一般的でした。本作はパルミジャニーノが21歳の時、床屋の鏡台を覗き込んだ際に着想を思い付いたそうです。凸面鏡に写した自画像や、拡大し歪曲した手を始めとする周辺部分の表現が素晴らしいと評価を受けている作品です。パルミジャニーノの表情は、21歳とは思えぬほど若々しく端正な顔立ちをしていますね。
パルミジャニーノは37歳でこの世を去りました。
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三位一体の礼拝

アルブレヒト・デューラーが最後に描いた祭壇画。ウィーン美術史美術館所蔵。
最後の審判ののちに出現する神の国において、旧約の人物たち、諸聖人、選ばれた者たちが、聖三位一体(父、子、聖霊)を礼拝するという場面を表しています。
祭壇画の中央上部に三位一体が描かれており、上から鳩の姿をした聖霊、皇帝の姿をした父なる神、そして父に支えられて十字架に架かる子なるキリスト。
この絵は、ニュルンベルクの裕福な市民マテウス・ランダウアーによって、彼が創立した貧しい職人たちの施療院「十二兄弟の家」の礼拝堂のために制作されたものです。画面右下隅には、署名年記を記した板を持つデューラー自身の姿も描かれています。
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眠れるヴィーナス

ルドルフ2世の宮廷画家、ヨーゼフ・ハインツの作品。ウィーン美術史美術館所蔵。
ハインツは宗教的なイメージ画、肖像画、そして、ルドルフ2世の好みに合わせて、エロティックな神話の絵画を多く残しました。この絵画もヴェネチア派のヴィーナス像をルドルフ2世の好みに合わせて描いたもので、女性は豪華な宝石だけを身に付けて眠っています。
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フェルメール 絵画芸術の寓意。

ウィーンの美術史美術館から。1666年ごろに描いた絵画。フェルメールの作品中、最大かつもっとも複雑な作品と言われています。この作品はフェルメールが借金に苦しんでいたときにも手放さなかったことから、フェルメールにとって大切な作品だったようです。
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バベルの塔 ピーテル・ブリューゲル

ウィーンの美術史美術館から。1563年に描かれた、ブリューゲルの代表作。ブリューゲルが描いた『バベルの塔』は2種類あり、絵のサイズから「大バベル」「小バベル」と言われています。これは「大バベル」の方です。「小バベル」はロッテルダムのボイマンス=ファン・ブーニンゲン美術館にあります。
バヘルの塔は、旧約聖書の「創世記」中に登場する巨大な塔。神話とする説が支配的だが、一部の研究者は紀元前6世紀のバビロンのマルドゥク神殿に築かれたエ・テメン・アン・キのジッグラト(聖塔)の遺跡と関連づけた説もある。実現不可能な天に届く塔を建設しようとして、崩れてしまったといわれることにちなんで、空想的で実現不可能な計画を比喩的に「バベルの塔」と言います。
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