コネスタビレの聖母 ラファエッロ・サンツィオ

古典主義絵画の祖のイタリア画家、ラファエッロ・サンツィオの初期の作品(1504年頃)です。本作は、直径18cmの小さな円形の絵で、ラファエッロが聖母マリアを初めて円形で描いた作品です。
ラファエッロがそのスタイルを完成させる前の作品ですが、構図が素晴らしく、美しいリズム感があり、色彩の調和と気高さが感じられます。
それでは具体的に観て行きましょう。
聖母マリアが幼子イエス・キリストを抱きながら本を読んでいる情景を描いた作品です。聖母マリアは赤い衣を纏い、彼女の特徴である青いマントに包まれています。キリストを見下ろす母性的な眼差しは、どこか憂いを帯びています。それは、聖母マリアが読んでいる本に、息子の悲惨な死が予言されているからでしょう。背景には、雪をかぶった山と枯れた木がりますが、緑の草原が明るく、春の再生を予感させます。
1881年に本作は板からキャンバスへと移されました。その際、オリジナル案では、聖母マリアは本の代わりにザクロをじっと見つめていたということが発見されました。ザクロはキリストの受難を象徴しています。
本作はラファエッロがそのスタイルを完成させる前の作品ですが、構図が素晴らしく、美しいリズム感があり、色彩の調和と気高さが感じられます。
ロシアのエルミタージュ美術館所蔵。
<MAP>

+2

あなたは何処へ行くの? ポール・ゴーギャン

フランスのポスト印象派の画家、ポール・ゴーギャンの作品(1893年)です。
本作はゴーギャンがタヒチ滞在中に描いたものですが、謎多い作品と言われています。
それでは具体的に観て行きましょう。
手前に大きな果物を胸の前に抱いた若い娘が描かれています。原色の赤色の腰布のみを身に着ける姿は、野性的な官能性と、活き活きとした生命力に溢れています。
また中景には左側に木陰で休む黒髪の女性が2人、右側に清潔な白地の衣服を身に着ける、子供を抱いた女性が描かれています。強烈な陽光による輝くような原色で彩られた風景は、観る者に強烈な心象を残します。
そして本作に関する謎ですが、「あなたは何処へ行くの?」は、誰が誰に向けられて発しているのか?前景の若い女性が抱く南国風の果物の意味は何か?4人の登場人物の視線が交わらないのは、何を意味しているのか?
様々な説が唱えられていますが、定説はありません。
エルミタージュ美術館所蔵
<MAP>

+3

サント=ヴィクトワール山 ポール・セザンヌ

フランスのポスト印象派の画家、ポール・セザンヌがサント=ヴィクトワール山の風景を描いた数ある作品のひとつです。
セザンヌは構図や陰影ではなく色彩によって遠近感を表現しようと試みました。この作品はその集大成と言えるものです。
それでは具体的に観て行きましょう。
堂々と雄大に描かれたサント=ヴィクトワール山は、陽光によって多様な輝きを反射しています。ほぼ三角形の形で構成されるサント=ヴィクトワール山は画面の中に重量感と安定感をもたらし、前景の変化に富んだ山道や木々は画面にリズム感を与えています。
セザンヌは、構図ではなく色彩によって遠近感を表現しました。画面中央から下部へは農道がうねるように描き込まれており、起伏の激しい麓の様子が感じられます。また画面手前の黄土色や赤茶色の山道からややくすんだ木々の緑色、山麓の青緑、そして画面上部の蒼いサント=ヴィクトワール山から青空へと続く色彩の変化は、まるですべてがひとつの流れとなり自然の中へと溶け込むかのようです。
サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館所蔵。
<MAP>

+3

タンホイザー序曲 ポール・セザンヌ

フランスのポスト印象派の画家、ポール・セザンヌの初期の代表作のひとつです。
若きセザンヌが自分の画風を見つけようと模索する様子が感じられる作品と言われます。
それでは具体的に観て行きましょう。
タンホイザーとは、騎士タンホイザーとテューリンゲン領主の娘エリザベトの悲恋の物語を描いたオペレッタ(小さいオペラ)です。
白い服を着て、ピアノ用に編曲されたタンホイザーを弾いているのは、セザンヌの妹ローザです。その横で編み物をしているのはセザンヌの母です。
ローザの弾くピアノの音色を聴きながら、編み物をする母。穏やかで家庭的な温もりが感じらる場面のはずが、この絵からはそのような明るい感じは受けません。
室内は静寂に満ち、暗く重苦しい空気が漂っているようです。ローザも鍵盤に指を置いているだけのようで、ピアノの音など聴こえていないかのようです。
また、ローザの上半身や母親の顔は、太く黒い線でくっきりと輪郭が描かれています。細部も太い筆でザックリと大胆に塗っています。画面に奥行きを感じないわけではありませんが、かといって立体的なわけでもなく、ローザのスカートの部分などは平面的に見えるところもあります。
本作からは、若きセザンヌが自分の画風を見つけようと模索する様子が感じられます。セザンヌは仲睦まじい家庭の様子を描こうとしたのではなく、その後のセザンヌの画風である、モノが持つ本質的な形を捉えて、構図や色彩や絵肌などの要素を組み合わせた絵を描こうとしていたのでした。
サントロペトロブルクのエルミタージュ美術館所蔵。
<MAP>

+3

リッタの聖母 レオナルド・ダ・ヴィンチ

16世紀イタリアの画家、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品です。
本作はミラノ貴族のリッタ家が所有していたことから「リッタの聖母」と呼ばれています。
それでは具体的に観て行きましょう。
幼児キリストに母乳を与える聖母マリアを描いた作品です。幼児キリストが左手に握っているゴシキヒワは、キリストの受難の象徴です。
アーチ状の二つの窓がある薄暗い背景に人物像が配されており、窓外は近くを明確に描き、遠くを不明瞭に描く、空気遠近法を使用した山並みの風景が描かれています。
気品や慈愛に満ちた聖母マリアの表情は優雅で繊細に描かれ、幼児キリストの表情は幼いながらも気高さと神々しさを放っています。筆触は繊細かつなめらかで、色彩も赤と青の対比が美しい。
全体が暗く描かれている中、聖母マリアと幼児キリストには光が当てられ、明るく描くことで、母子を際立たせる手法がダ・ヴィンチらしい作品です。
サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館所蔵。
<MAP>

+3

ブノアの聖母 レオナルド・ダ・ヴィンチ

16世紀イタリアの画家、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品です。
本作は、ダ・ヴィンチが師匠のヴェロッキオから独立して最初に描いた作品です。
当時ダ・ヴィンチは視覚理論を追求していました。当時の考えでは、人間の目から、もっとも重要なものを視野の中心にとらえる光が発せられるとされていました。ブノアの聖母のマリアに抱かれたキリストは、聖母マリアの手によって視線を花により導かれています。
この作品は多くの画家に模倣され、ラファエロの「カーネーションの聖母」も、ブノアの聖母の影響を受けていると言われています。聖母マリアとキリストの配置、聖母マリアの顔の傾き、右上の窓、青の膝掛け等、ブノアの聖母を模擬しているのは明らかです。

ラファエロの「カーネーションの聖母」

サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館所蔵。
<MAP>

+3

オルタ・デ・エブロの工場 パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソの分析的キュビスム時代の作品です。アフガニスタンの郵便切手になった事でも有名な作品です。
それでは具体的に観て行きましょう。
本作はピカソがスペインで休暇中に見た工場を描いたものです。
分析的キュビスム時代は、プロトキュビスムの時代から更に分析が進み、対象が徹底的に分解され、何が描かれているのか識別することが困難なところにまで進んでいきました。
サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館所蔵。
<MAP>

+2

モンマルトル大通り カミーユ・ピサロ

19世紀フランスの印象派の画家、カミーユ・ピサロの作品。
ピサロは、ホテルの部屋などから都市の情景を描く「都市シリーズ」を多く制作しています。本作も「都市シリーズ」のひとつです。
大都会の賑わいを描きながらも、馬車の黒っぽいシルエットをはじめ、明度、彩度ともに抑え気味の色彩を用い、画面全体の色彩の調和的な響き合いを重視して作成された作品です。
サンクト・ペテルブルクのエルミタージュ美術館所蔵。
<MAP>

+2