サン=ラザール駅 クロード・モネ

19世紀フランス印象派の巨匠、クロード・モネの作品です。
「人物画のルノワール、風景画のモネ」という表現もあるほど、モネは人物画を描いていません。本作でも人物はわき役に回り、列車が出入りする駅構内の雰囲気と列車が吐き出す煙及び水蒸気、そして光が主題です。画中には何ひとつ確かな存在は無く、全てが曖昧に表現されています。
新しい時代に力強く登場した蒸気機関車と駅舎をモネは心躍らせて眺めたとされます。
しかしモネが見ていたものは、青い空であり、天井のガラスを通して落ちる光であり、煙に映り込む乱反射でした。
オルセー美術館所蔵。
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日傘の女 クロード・モネ

19世紀フランス印象派の巨匠、クロード・モネの作品です。
本作品は、モネが人物画を描いた数少ない作品の一つです。「人物画のルノワール、風景画のモネ」という表現もあるほど、モネは人物画を描いていません。
モネが風景画を中心に制作した背景には、「筆触分割」という印象派の中心となる技法が、風景の描写に特に適していたからだと言われます。
それでは具体的に観て行きましょう。
人物を包む光に関心を注ぎ、生活感を削ぎ落として、音楽のような抽象的とも言える光のハーモニーで描いています。視点を低く取ることにより、人物は足元の草地とバックの空に溶け込み一体化しています。モデルの表情が、ほとんど分からないのは、風景の一部として捉えていたからだと言われています。
オルセー美術館所蔵。
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睡蓮:バラ色のハーモニー クロード・モネ

19世紀フランス印象派の巨匠、クロード・モネの作品です。
モネは妻を失った後、ジヴェルニーに家を借り、その邸内に睡蓮の池を築きました。
本作は、その睡蓮の池を描いた作品です。
モネは歌川広重の版画「名所江戸百景 亀戸天神境内」の影響を受け、作品の中に浮世絵に共通する空間のとらえ方を取り入れました。
それでは具体的に観て行きましょう。
太陽の移り変わりにより様々に変化する睡蓮の池の色彩を、大ぶりな筆触と色彩分割(絵具を混合させない筆触分割)を使って表現しています。一見、非現実的に思える配色が使われています。しかし、それにより絵画は、より一層、表情豊かなものになっています。
そして、浮世絵に共通する空間のとらえ方と言われるのが、水面に浮かぶ睡蓮の色彩とゆるやかなカーブを描く日本風の太鼓橋。特に太鼓橋は、それがなければ焦点が定まらない画面に構図的なアクセントを与えています。
オルセー美術館所蔵。
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ルーアン大聖堂 クロード・モネ

19世紀フランス印象派の巨匠、クロード・モネの作品です。
ルーアンはセーヌ河の水運拠点として発展し、かつてはノルマンディー公国の首都でした。本作品はモネがルーアン大聖堂を描いた全33作品の連作群のひとつです。
作品群はモネが大聖堂に当たる陽光と、陽光が作り出す陰影の時間経過による変化と効果に取り組む為、聖堂前にキャンバスを複数枚並べ、太陽の動きと共にモネ自身が移動しながら制作したと言われています。
オルセー美術館所蔵。
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ゴディベール夫人の肖像 クロード・モネ

19世紀フランス印象派の巨匠、クロード・モネの作品です。
光沢のあるイエローオーカーの裾の長いドレスを着て、柄のある赤いショールを腰に巻き、向こうに顔を向けて立つ女性の全身像。
彼女は、モネの作品の購入者ルイ・ジョアサン・ゴーディベールの妻マルグリットです。
顔がほとんど描かれていない為、彼女が身に纏うものや、後ろに置かれたテーブル、その上の薔薇、絨毯の文様など、周囲に視線が行きます。
印象派の特徴は出ていませんが、タッチはとてもモネらしい作品です。
オルセー美術館所蔵。
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アルジャントゥイユのヨットレース クロード・モネ

19世紀フランス印象派の巨匠、クロード・モネの作品です。
この作品もセーヌ川を題材にした作品です。
暖かい時期、アルジャントゥイユは、ボートやヨットを楽しむ人で賑わいました。
それでは具体的に観て行きましょう。
人物を点景で、そして白い帆や岸辺の授記、赤い家などもスケッチ風のタッチで描かれています。
水面や空の青色、ヨットの黄色、画面右側に描かれる二軒の家々の赤色、そして岸辺の自然の緑色と、基本的に四色のみで構成される作品です。
モネの関心は空よりも水面に揺れ動く帆や家のシルエットなど水の描写にあり、陽光の輝きの美しさも水面で表現されています。
オルセー美術館所蔵。
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アルジャントゥイユの橋 クロード・モネ

19世紀フランス印象派の巨匠、クロード・モネの作品です。
モネはセーヌ川とこれに架かる橋を繰り返し描きました。その中でも本作は、色彩分割による印象主義的表現の完成度が高い作品と言われています。
それでは具体的に観て行きましょう。
本作はパリの北西、セーヌ川右岸にある街、アルジャントゥイユにある橋の情景を描いた作品です。変幻自在の水の戯れと水面に揺れる光、空、雲に対し、その上に架かる橋は揺るぎない存在感を示しています。
両者の堅(橋)と軟(水)、静(橋)と動(水と光)、あるいは人工(橋)と自然(水と光、雲)の対比がされています。また、岸辺の草木から無人のボートを経て川面を滑るヨットの白い帆、さらに向こう岸の家に至るまでの自然に空間表現が見事です。
これらは、色彩分割(絵具を混合させない筆触分割)による水面の描写が土台となって成立しています。
ワシントンのナショナル・ギャラリー所蔵。
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アルジャントゥイユのひなげし クロード・モネ

19世紀フランス印象派の巨匠、クロード・モネの作品です。
対比的な色彩の使用と画面構成が特徴的な作品です。
それでは具体的に観て行きましょう。
夏のアルジャントゥイユ郊外の坂道を日傘を差した母娘らが下ってくる姿を描いた作品です。似たような親子が前後二組描かれています。彼らを互いの距離感を示すと共に、時間的推移も暗示しています。
そして、対比的な色彩の使用と画面構成。ほぼ中央から上下に分けられる画面は、上部が空の青色と雲の白色、下部がひなげしの赤色と叢の緑黄色が支配しています。
特にひなげしの赤色と空の青色との対比は、観る者に爽快感と強い印象を与えています。また、白色、緑黄色を的確に配置することによって、それらをより効果的に引き立たせています。
さらに、水平に背の高い木々や一軒の家屋を連ね、ほぼ水平線上へ描くことで上下が分離し過ぎず、画面内に統一感を持たせることに成功しています。
オルセー美術館所蔵。
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カサカギ クロード・モネ

印象派を代表するフランスの画家、クロード・モネの作品です。
本作品は、モネによって描かれた約140ある雪景色の作品の一つで、色付きの影を使用した最初の作品と言われます。
それでは具体的に観て行きましょう。
白の中の黒いかささぎが印象的な雪景色をとらえた作品。モネは太陽の光の輝きを受けて青い影を創り出している新雪を描きました。
モネは本作品で、青い影を使用して、自然の中で見られる光と影が実際の変化する状態を表現し、影を黒く塗るという従来の慣習に挑戦しました。
後の印象派に大きな影響を与えた作品です。
オルセー美術館所蔵。
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