泣く女 パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソの作品です。
ピカソのキュビスム表現主義の時代(※1)の代表作のひとつです。
ピカソは「泣く女」という主題に関心を抱き、何度も同じテーマの作品を制作、100種類以上のバリエーションが存在しています。本作は「泣く女」シリーズの最後の作品で、最も完成度の高い作品と言われています。
それでは具体的に観て行きましょう。
なんとも複雑な表情をしています。女性が白いハンカチをくわえ泣いているようです。
当時、ピカソの周りには3人の女性がいました。新しい恋人のドラ・マール、その出現で隅に追いやられたマリー・テレーズ、すでに険悪な関係になっていた妻オルガです。
この作品はドラ・マールをメインに、その三人が同時に描かれており、ピカソの彼女たちをめぐる心の葛藤を表現したものと言われています。
彼女たちを苦しめることによってピカソ自身も悲痛な叫びをあげていたのでした。
ロンドンのテート・モダン所蔵。
※1:キュビスム表現主義の時代(1937年 – 1973年):ピカソがキュビスム表現主義の作品を多く描いた時代
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鏡の前の少女 パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソの作品です。
本作品は、ピカソの愛人、マリー・テレーズ・ウォルターをモデルに、ピカソがギリシャ彫刻に感じていた「理想の女性像」を重ねて描いた作品です。
ピカソの超現実主義の時代(※1)の作品です。
それでは具体的に観て行きましょう。
テレーズの白い顔に差し込む後光は、顔の右半分を滑らかなラベンダー・ピンク色で照らして穏やかに描かれています。しかし、光が当たらない左半分は三日月のような顔をしており、緑のアイシャドウやオレンジの口紅などラフな厚化粧がほどこされています。これは、テレーズの昼と夜の両方の表情、また落ち着きと生命力の両方を表現しており、さらに純粋な少女から世俗的な大人の女性へ移行するテレーズ自身の性的成熟を表現しています。満月や新月ではなく三日月形になっている表情が「移行」を象徴しています。
また化粧テーブルの鏡に映るテレーズの姿は異形的です。顔はまるで死体のように黒々としており、まるで死に直面しているようにも見えます。ピカソは、そこに少女の魂、少女の未来、少女の恐怖を表現したのでした。
ニューヨーク近代美術館所蔵。
※1:超現実主義の時代(1925年 – 1936年):ピカソが超現実主義に興味をもった時代。
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アヴィニョンの娘たち  パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソの作品です。
ピカソのアフリカ彫刻の時代(※1)の代表作で、キュビスムのはしりと言われる作品です。
それでは具体的に観て行きましょう。
バルセロナのアヴィニョン通りに存在した売春宿にいた5人の売春婦のヌード画です。
画面左側の女性の横顔は古代エジプト彫刻、中央の2人の顔には、イベリア彫刻、また、グロテスクに歪曲された右の2人の顔には、アフリカ彫刻の影響が見え隠れします。
そして、本作は絵画ならではの新しい現実感を得るために、事物の形をいったん解体したうえで、画面のなかで複数の視点から再構成する「キュビスム」のはしりと言われます。
さらには、遠近法や明暗法に基づく伝統的な絵画の約束事を根本からくつがえした点で、現代絵画の出発点とも言われる大作です。
ニューヨーク近代美術館所蔵。
※1:アフリカ彫刻の時代(1906年 – 1908年):ピカソがアフリカ彫刻や古代イベリア彫刻の影響を強く受けた時代。
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サルタンバンクの家族  パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソの作品です。
本作は、ピカソの「バラ色の時代」(※1)の代表作です。
それでは具体的に観て行きましょう。
砂漠を背景として巡業するサーカス芸人のサルタンバンク一家を描いています。常に一緒に行動しているように見えるサーカス芸人たちだが、絵の中の6人は互いに目を合わさず、コミュニケーションのようなものは感じられません。
ピカソはサルタンバンク一家を通して、自分自身を描いており、独立精神」「孤独」「貧しさ」「放浪」を表現しました。そのため、背景はパリではなく砂漠に設定されています。
ワシントンのナショナル・ギャラリー所蔵。
※1:ばら色の時代(1904年 – 1906年):ピカソがフェルナンド・オリヴィエという恋人を得て、サーカスの芸人、家族、兄弟、少女、少年などを題材に明るい色調で描いた時代。
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老いたギター弾き  パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソの作品です。
本作は、ギター弾きを題材に悲惨さとわずかな希望を表現した、ピカソの「青の時代」(※1)の作品です。
それでは具体的に観て行きましょう。
ボロボロの擦り切れた服を身につけ、やつれてうなだれた盲目の老人が、スペインのバルセロナの通りでギターの演奏を弾いている情景を描いています。
ギター弾きには、すでに生命力がほとんどなく、死が迫っているようなポージングは、状況の悲惨さを表しています。
一方で、手に持つ大きな茶色のギターは、青みがかった背景から最も離れたカラーで、観る者の視点を中央に引き寄せる効果を持つだけでなく、ギターはその絶望状況下で、唯一、生存するための小さな希望を象徴しています。
シカゴ美術研究所所蔵。
※1:青の時代(1901年 – 1904年):ピカソが19歳のとき、親友のカサヘマスが自殺したことに大きなショックを受け、鬱屈した心象を、プロシア青を基調に使い、盲人、娼婦、乞食など社会の底辺に生きる人々を題材に作品を描いた時代。
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人生 パブロ・ピカソ

19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソの作品です。
本作は、ピカソの「青の時代」(※1)の傑作と言われる作品です。
それでは具体的に観て行きましょう。
左側に描かれている裸で寄り添っている男女は、親友のカサヘマスとその恋人ジェルメールで、2人に起きた悲劇を描いた作品です。カサヘマスの死はジュメールとの失恋が原因でした。
右側の母子像の母はカサジェマスを見つめ、カサジェマスは赤子を指さしています。二人の男女と母子像の間には二枚の絵があり、上は抱き合う男女、下には元気をなくした人物で、失意と絶望を感じさせます。
アメリカのクリーブランド美術館所蔵。
※1:青の時代(1901年 – 1904年):ピカソが19歳のとき、親友のカサヘマスが自殺したことに大きなショックを受け、鬱屈した心象を、プロシア青を基調に使い、盲人、娼婦、乞食など社会の底辺に生きる人々を題材に作品を描いた時代。
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