洗礼者聖ヨハネ

作者のレオナルド・ダ・ヴィンチは晩年、フランソワ一世の招きによりローマを去り、フランスのクロ・リュセ城で過ごします。この時に携えてきたのが、本作と「モナ・リザ」、「聖アンナと聖母子」の3作品です。この3作品はダ・ヴィンチのお気に入りで、生涯手元に置き、手放しませんでした。
洗礼者聖ヨハネのモナリザを思わせる端正な顔立ちと微笑みは、ダ・ヴィンチが寵愛していた弟子ジャン・ジャコモ・カプロッティ(通称サライ)をモデルにしたと言われています。 本作を始め、ダ・ヴィンチ作品によくみられる、この天に向け人差し指を指すポーズは、天からの救世主キリストの到来を予告し、道を平らかにするよう悔悛を説いてると解釈されています。
ヨルダン川でキリストの洗礼を行なった者とされる洗礼者聖ヨハネは、都市生活から離別し、神の審判が迫ることを説き、人々に悔い改めの証として洗礼を施しますが、ヘロデ王の娘サロメの願いにより斬首刑に処されました。
<MAP>



5+

聖アンナと聖母子

レオナルド・ダ・ヴィンチが1508年ごろに描いた絵画です。
聖マリアが母親のアンナの膝の上に座り、幼児キリストに手を延ばしています。キリストは将来遭遇する受難の象徴である生贄の子羊と戯れていますが、マリアはそれを制止しようとして手を延ばしているように見えます。 マリアとキリストとが視線を交し合う一方で、アンナのほうはマリアの様子を伺っている、という様に視線を通じて人物と絵にリズミカルな動きが生まれています。
<MAP>

5+

モナ・リザ

イタリアの美術家レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた油彩画。上半身のみが描かれた女性の肖像画で、「世界でもっとも知られた、もっとも見られた、もっとも書かれた、もっとも歌われた、もっともパロディ作品が作られた美術作品」と言われています。
「モナ・リザ」は、1911年ルーブル美術館から一度、盗まれた事があります。当初、ルーブル美術館など「燃えてしまえ」と言い放ったことがあるフランスの詩人ギヨーム・アポリネールに盗難の容疑がかかり、逮捕、投獄されます。このときアポリネールは友人だったパブロ・ピカソに助けを求めようとしましたが、ピカソも事件への関与が疑われ、尋問のために警察へと連行されました。結局、両者共に無実だと判り釈放されました。
事件発生から2年後、かつてルーブル美術館に雇われたことがあるイタリア人ビンセンツォ・ペルージャが真犯人であることが判明します。ペルージャはイタリア愛国者であり、イタリア人レオナルドの作品はイタリアの美術館に収蔵されるべきだと信じていたと言われます。 ペルージャは、フィレンツェのウフィツィ美術館館長に「モナ・リザ」を売却しようとして逮捕されました。イタリアに持ち込まれていた「モナ・リザ」は、そのままイタリア中で巡回展示された後、1913年にルーブル美術館に返却されました。
ペルージャはイタリアで裁判にかけられましたが、愛国者であると賞賛され、投獄されたのは僅か6か月だったそうです。
<MAP>

7+

キリストの洗礼

この作品に描かれているのは、新約聖書の中のこんな場面です。
洗礼者ヨハネが荒れ野に現れて、罪の赦しを得させるために悔い改めの洗礼を宣べ伝えた。
(中略)彼はこう宣べ伝えた。「わたしよりも優れた方が、後から来られる。わたしは、かがんでその方の履物のひもを解く値打もない。
わたしは水であなたたちに洗礼を授けたが、その方は聖霊で洗礼をお授けになる。」
そのころ、イエスはガリラヤのナザレから来て、ヨルダン川でヨハネから洗礼を受けられた。
水の中から上がるとすぐ、天が裂けて”霊”が鳩のように御自分に降ってくるのを、御覧になった。
すると、「あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」という声が、天から聞こえた。
(日本聖書協会「新約聖書」マルコによる福音書1:4-11より)
ということで、中央がイエス・キリスト。右側で洗礼を授けているのがヨハネです。
イエスの頭上には、いままさに降りてこようとしている鳩(=精霊)と、その上にそれを遣わした神の手が見えます。
左側には洗礼を終えたイエスを迎えようと待っている天使たちがいます。
この作品は、レオナルド・ダ・ヴィンチとその師匠のヴェロッキオにより描かれました。レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたのは、左側の天使と遠景、キリストの足元の水と言われています。
ダ・ヴィンチが描いたところは、他と明らかにクオリティが違いますね。このレオナルドが描いた天使を見て、師匠のヴェロッキオはそのずば抜けた才能にはかなうまいと、二度と絵筆をとらなかったと言われています。
<MAP>

5+