干し草車

17世紀フランス古典主義の画家兄弟ル・ナン三兄弟を代表する作品です。ルーブル美術館所蔵。
本作品は1848年にパリで展示され、大きな反響を呼んだ作品として知られています。
画面右下部分に赤子を抱く母親の農婦が荷馬車の前で座り、その周りには猟犬や家畜が配されています。またその上部に荷馬車の上に乗り子供らの姿が干し草と共に描かれ、その中のひとりは笛を吹いています。画面中景では納屋の前に農婦とその子供らが家畜に水を与えています。
リズム感の良い人物配置や構図が本作の特筆すべき点のひとつですが、豊かな色彩で描かれる本作の中に漂う独特の風俗的情緒感が作品の中から現実の世界へ、渾然として観る者に訴えかけているところが絶品と評されています。
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鍛冶屋

フランス古典主義の画家のル・ナン兄弟が1640年に描いた作品。ルーブル美術館に展示されています。
ル・ナン兄弟は、絵画がまだ王侯貴族や教会、特別の金持ちの注文でしか描かれなかった時代に、農民や職人ばかり描いた画家です。
なぜル・ナン兄弟と呼ばれるかといえば、いずれも画家であったアントワーヌ、ルイ、マチューの3兄弟が、だれが描いたものでも、作品には「ル・ナン」と姓だけしかサインしなかったからです。どの作品も、3人のうちの1人が描いたのか、それとも共同で描いたのか、正確にはわかっていません。
この作品の仕事場に集まった鍛冶屋の家族は、記念写真でも撮るときのようなポーズをしていますが、なにか鍛冶という仕事の神聖さにつつまれているように見えます。
ル・ナン兄弟がこの絵で描いているのは、日本でいえば野鍛冶と呼ばれる、農具などを作る鍛冶屋です。鍛冶屋は若い夫婦で、左側に立っている2人は彼らの子どもだと思われます。右手で腰掛け、横を向いている人物と、彼に寄り添うようにしている子どもは、これも家族の一員で、子ども連れでやってきた鍛冶屋の客です。
鍛冶屋の家族は、全員立ってこちらを向いています。しかし、右手の腰掛けた男と子どもだけが、横を向いています。これは右端の2人だけが家族ではないことを示しています。
鍛冶屋も家族なら、訪ねてきた農民とその子どもも、ひとつの家族です。
ル・ナン兄弟は、ここにふたつの家族を描きました。そして描かれたふたつの家族は、同じ労働に生きる家族同士として、一見すると一家族に見えるほど、ひとつの画面のなかで溶け合っています。
ル・ナン兄弟自身のパリでの共同生活が示したように、彼らにとっては、家族の結びつきほど大切なものはありませんでした。それが彼らの生涯のテーマでした。
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