男やもめ カール・シュピッツヴェーク

19世紀ドイツのビーダーマイヤー(※1)時代を代表する画家、カール・シュピッツヴェークの作品です。
シュピッツヴェークは、絵画における数少ないユーモアリストのひとりです。
具体的に観て行きましょう。
この男やもめは、手に無き愛妻の形見を持ち、妻を思いやりながらも、今し方目の前を通り過ぎて行った二人の若い女性の後ろ姿に心惹かれ、目で追っています。
本人も意識していないふとした、仕草にシュピッツヴェークのユーモアと皮肉が込められています。
ミュンヘンのノイエ・ピナコテーク所蔵。
※1:ビーダーマイヤーとは、19世紀前半のドイツやオーストリアを中心に、もっと身近で日常的なモノに目を向けようとして生まれた市民文化の形態の総称です。
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3+

アトリエの壁 アドルフ・メンツェル

19世紀の最も著名な2人のドイツ人画家の1人、アドルフ・メンツェルの作品です。
メンツェルは社会的な主題を、斬新な視点と絵の具の特性を生かした自由闊達な技術を用い表現した画家です。
それでは具体的に観て行きましょう。
メンツェルのアトリエを題材とした作品です。日常的な空間が、メンツェルの斬新な視点により異次元の空間に生まれ変わっています。
中央左のマスクは、メンツェルの友人で美術史家のF.エッガースです。数ヶ月前に亡くなった友に捧られた追憶として描かれています。
ハンブルク美術館所蔵。
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3+

教会の中の三人の女 ヴィルヘルム・ライブル

19世紀ドイツの写実主義(※1)の画家、ヴィルヘルム・ライブルの代表作です。
ライブルは、インテリアや風景、肖像画を題材にドイツ国内の風景を数多く描きました。
それでは具体的に観て行きましょう。
教会の中で聖書を読んでいる女性三人を描いています。女性は民族衣装をまとっており、年齢的には娘、母、祖母で、女の一生を意識した作品です。
ライブルは、ものの外観、表美を徹底的に再現することによって、真実=美を捉えることが出来ると信じていました。
ハンブルク美術館所蔵。
※1:写実主義とは、現実を空想によらず、ありのままに捉えようとする画派です。
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3+

バラと銀色:陶磁の国の姫君 ホイッスラー

19世紀アメリカ生まれの画家、ジェイムズ・アボット・マクニール・ホイッスラーの作品です。日本趣味的要素が強く示された代表的な作品のひとつです。
ホイッスラーは自らの絵に背景となる物語や寓意を与えることを嫌い、あくまで色や形態の調和を追求しました。
それでは具体的に観て行きましょう。
日本もしくは中国の調度品に囲まれて、うちわを手に着物姿で立つ西洋の女性を描いた作品です。女性の表情はどこか物憂げです。ホイッスラーは額も絵に合わせて自らデザインしました。
画面全体は黄色味が支配しつつも、床面の緑色や茣蓙・着物の深い藍色、腰帯や屏風に描かれる鳥の朱色など混在となる色彩の調和と統一感は見る者に強烈な印象を与えます。
ワシントンDCのフリーア美術館所蔵。
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2+

ラ・ジャポネーズ クロード・モネ

19世紀フランス印象派の巨匠、クロード・モネの作品です。
本作は、モネの日本趣味が最も顕著に表れた作品で、かつ、モネ自身の西洋美術のアイデンティティも融合されている作品と言われます。
それでは具体的に観て行きましょう。
描かれている女性は、モネの妻、カミーユ・ドンシューです。カミーユは武者の姿が刺繍された真っ赤な日本の着物を着て、手にはフランスの三色旗と同じ青・白・赤の扇を持たせ、金髪のカツラを被っています。そして、挑発するかのごとく、笑みを浮かべこちらを見つめています。
カミーユの本来の髪の色は黒色です。日本文化を象徴するオブジェクトで妻を取り囲みながら、わざわざ金髪のかつらを被らせているところに、日本美術への賛美と同時に西洋人である自身のアイデンティティを融合させています。
ホストン美術館所蔵。
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3+

自画像:イーゼルの前の画家 オノレ・ドーミエ

19世紀フランス画家、オノレ・ドーミエの作品です。
ドーミエは風刺版画家として知られるとともに、油彩画家としても印象派や表現主義の絵画を先取りし、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック、フィンセント・ファン・ゴッホなど、後世の画家に影響を与えた画家です。
それでは具体的に観て行きましょう。
光と明暗の効果が素晴らしい。頭部から体側にまとわりつく斜め上からの光。絵の周辺に映る白い影。画家を照らし出し輪郭をかたどる光は聖人の光輪を思わせ、観るものに孤高の芸術家をイメージさせます。
ワシントンDCのフィリップス・コレクション所蔵。
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1+

洗濯女 オノレ・ドーミエ

19世紀フランス画家、オノレ・ドーミエの作品です。
ドーミエは風刺版画家として知られるとともに、油彩画家としても印象派や表現主義の絵画を先取りし、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック、フィンセント・ファン・ゴッホなど、後世の画家に影響を与えた画家です。
それでは具体的に観て行きましょう。
洗濯の山を抱えながら、石の階段を登る女性を描いています。この女性からは、疲労感と同様に力強さも感じさせます。母親として、生活の疲労と高すぎる階段をよじ登る子供を助ける優しさが描写されています。
母親の手をしっかり握りしめた子供は、母親がこれから請け負った洗濯仕事へ向かうことをわかっているようにも見えます。
母と子の力強い量感、存在感が際立つ作品です。
オルセー美術館所蔵。
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2+

三等列車 オノレ・ドーミエ

19世紀フランス画家、オノレ・ドーミエの作品です。
ドーミエは、産業革命によって移り変わる交通手段を主題とした絵画を多く描きました。この作品もそのひとつです。
それでは具体的に観て行きましょう。
三等車は車窓から光が入り、人でごった返し、汚く、固い椅子が並べられています。座席は、一等、二等の席が買えなかった者で埋め尽くされています。
乳飲み子を抱えた母親、バスケットの取っ手を握りしめる年老いた女、ぐっすり眠る少年。三世代が同時に座っています。まるで人生の縮図を表しているようです。成人した男性は後ろ姿のみで脇役です。これは女性が自分の世界を切り開こうとしてることを示唆しています。母親の顔は優しいが、年老いた女の表情は疲れ切っており、長い人生のなかで経験したであろう苦難を物語っています。老婆の抜け目のないまなざしは、鑑賞者をじっと見つめています。
ドーミエならではの観察眼の鋭さと暖かい共感をもって、乗客の内部に焦点を当てた作品です。
ニューヨークのメトロポリタン美術館所蔵。
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3+

羊飼いの少女 ジャン=フランソワ・ミレー

19世紀フランスのバルビゾン派の創設者の一人、ジャン=フランソワ・ミレーの作品です。バルビゾン派の画家たちは、フランスのバルビゾン村やその周辺に居住し、自然主義的な風景画や農民画を写実的に描きました。
それでは具体的に観て行きましょう。
少女の可憐にしてどこか侘しげなたたずまいが、観る者の共感をそそう作品です。身にまとっているものや、大きなごつごつとした木靴も彼女の境遇を物語っていますが、その足元には白いタンポポが彼女を慰めるかのように咲いています。
貧しくはあるが静かで平凡な田園風景と、そこに生きる人と動物が一つになった、写実的であると共に抒情性に富んだ作品です。
オルセー美術館所蔵。
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3+