鏡の前の少女 パブロ・ピカソ



19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソの作品です。
本作品は、ピカソの愛人、マリー・テレーズ・ウォルターをモデルに、ピカソがギリシャ彫刻に感じていた「理想の女性像」を重ねて描いた作品です。
ピカソの超現実主義の時代(※1)の作品です。
それでは具体的に観て行きましょう。
テレーズの白い顔に差し込む後光は、顔の右半分を滑らかなラベンダー・ピンク色で照らして穏やかに描かれています。しかし、光が当たらない左半分は三日月のような顔をしており、緑のアイシャドウやオレンジの口紅などラフな厚化粧がほどこされています。これは、テレーズの昼と夜の両方の表情、また落ち着きと生命力の両方を表現しており、さらに純粋な少女から世俗的な大人の女性へ移行するテレーズ自身の性的成熟を表現しています。満月や新月ではなく三日月形になっている表情が「移行」を象徴しています。
また化粧テーブルの鏡に映るテレーズの姿は異形的です。顔はまるで死体のように黒々としており、まるで死に直面しているようにも見えます。ピカソは、そこに少女の魂、少女の未来、少女の恐怖を表現したのでした。
ニューヨーク近代美術館所蔵。
※1:超現実主義の時代(1925年 – 1936年):ピカソが超現実主義に興味をもった時代。
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