聖アンナと聖母子と幼児聖ヨハネ



14世紀のイタリア芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチの作品。
幼児キリストを抱く聖母マリアがその母である聖アンナの膝に座り、その右にキリストの従兄弟の幼児聖ヨハネが立ってるシーンを描いています。
リズム感と安定感が両立し、視線の向きから登場人物の関係性も見て取れる傑作。そして、聖アンナの人差し指の仕草。これはダ・ヴィンチ作品の典型とも言われる仕草です。
それでは、具体的に見て行きましょう。
聖マリアと聖アンナの足を上下方向に描き、絵にリズム感を与える共に、聖アンナの両脚はしっかりと地面を踏みしめ、安定感も与えています。
そして、各人物の顔を照らし出す光から、この作品の主人公は二人(聖マリアとキリスト)で、あとの二人は脇役として配されていることが分かります。
また4名の視線は密接に関連しており、娘マリアを見つめる聖アンナの視線は、「いつの世の人もわたしを幸せな者と呼ぶ」(聖歌マニフィカト)と称賛される聖マリアへの畏敬と娘を誇らしく思う母親の気持ちを表しています。
一方、聖マリアの視線はキリストに注がれ、そのキリストは、30年後に自身に洗礼を施すことが運命づけられた従兄弟の聖ヨハネの頭上に、手をかざし祝福を与えています。
その背景に描かれた聖アンナの人差し指は、真っすぐ天を指しており、祝福が天に由来することを表しています。
聖アンナのこの仕草は多くのダ・ヴィンチ作品で見られ、「最後の晩餐」の使徒トマスや「洗礼者聖ヨハネ」でも同様の仕草が描かれています。
ナショナル・ギャラリー(イギリス)所蔵。
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