耳を切った自画像 ファン・ゴッホ



オランダのポスト印象派の画家、フィンセント・ファン・ゴッホの代表作のひとつです。
ゴッホとゴーギャンは、南フランスのアルルで共同生活を始めますが、対象を見ながら制作したゴッホに対し、ゴーギャンは描く対象の写実的表現を否定していた為、両者は対立してしまいます。
精神的に追い詰められていたゴッホは、遂にゴーギャンと芸術論で激論を交わし、両者の間には決定的な溝が生じてしまします。そして、アルルの家を出ていくゴーギャンをゴッホは追いかけ、ゴーギャンを一目した後、剃刀で自身の耳を切り落とし娼婦ラシェルのもとへ届けるという「耳切り事件」をおこしてしまいます。
本作品は、この事件直後に描かれた作品です。
それでは具体的に観て行きましょう。
ゴッホの特徴である太く絵具の質感を残した独特の筆触で描写される本作のゴッホは、包帯で巻かれる顔側部など痛々しい様子で描かれています。その表情やゴッホ自身へと向けられる視線は冷静であり、一見すると落ち着きを取り戻したかのようにも見えます。しかし、この事件以降、ゴッホは幻覚と悪夢にうなされるようになり、その症状は生涯続いたと伝えられています。
また背後には浮世絵『芸者』が飾られており、鮮やかで明るさの増した色彩と共に、ゴッホの日本趣味への傾倒も見られます。
ロンドンのコートールド・ギャラリー所蔵。
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