老いたギター弾き  パブロ・ピカソ



19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソの作品です。
本作は、ギター弾きを題材に悲惨さとわずかな希望を表現した、ピカソの「青の時代」(※1)の作品です。
それでは具体的に観て行きましょう。
ボロボロの擦り切れた服を身につけ、やつれてうなだれた盲目の老人が、スペインのバルセロナの通りでギターの演奏を弾いている情景を描いています。
ギター弾きには、すでに生命力がほとんどなく、死が迫っているようなポージングは、状況の悲惨さを表しています。
一方で、手に持つ大きな茶色のギターは、青みがかった背景から最も離れたカラーで、観る者の視点を中央に引き寄せる効果を持つだけでなく、ギターはその絶望状況下で、唯一、生存するための小さな希望を象徴しています。
シカゴ美術研究所所蔵。
※1:青の時代(1901年 – 1904年):ピカソが19歳のとき、親友のカサヘマスが自殺したことに大きなショックを受け、鬱屈した心象を、プロシア青を基調に使い、盲人、娼婦、乞食など社会の底辺に生きる人々を題材に作品を描いた時代。
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