座る女(マリー・テレーズ) パブロ・ピカソ



19世紀スペインのキュビスムの創始者、パブロ・ピカソのシュルレアリスム時代(※1)の作品です。ピカソの愛人マリー・テレーズ・ウォルターを描いています。
それでは具体的に観て行きましょう。
マリー・テレーズは肘掛の椅子に座わっており、赤色と緑色を基調とした明るい色彩で描かれています。色彩論において赤色と緑色は対立する色と定義され、通常、両極性のある色彩を組み合わせると、作品は単調で平面的になります。
しかし、ピカソは、キュビズムの分析・解体と構築を用い、作品に空間的な奥行きを与えることに成功しています。作品の色彩とキュビズムの立体感により目の錯覚が生じ、背景となる部屋の2つの角が遠ざかって見え、立体的な空間に見えます。
また、マリー・テレーズの派手で明るい色彩のドレスには、白黒の横縞を入れることで色彩の調和をとっています。体のラインは上品な様相で表現され、色遣いとキュビズムの技法により作品は立体的に見え迫力があります。
パリのピカソ美術館所蔵
※1:シュルレアリスム(超現実主義)の時代(1925年 – 1936年):シュルレアリスム(ジークムント・フロイトの精神分析とカール・マルクスの革命思想を思想的基盤とし、無意識の探求・表出による人間の全体性の回復を目指しました。)に興味を持ち、活動した時代
<MAP>

広告

Subscribe
更新通知を受け取る »
guest
0 コメント
Inline Feedbacks
View all comments

Copyrighted Image

0
Would love your thoughts, please comment.x
()
x