僧侶としてのドミニク叔父の肖像 ポール・セザンヌ



フランスのポスト印象派の画家、ポール・セザンヌ(1866年)の作品です。
若き日のセザンヌは、情熱的だが暗く幻想的な絵を何枚も描いています。
それでは具体的に観て行きましょう。
官能的なものと瞑想的なもの、拡張的なものと自己抑制的なもの等、対極にあるものが描かれています。白、グレー、黒の配色で、肉体の無骨さと土の色調を対比させています。白から青みがかった冷たい色調、黄色、赤、茶色の暖かい色調を経て黒へと移っていき、襟元の冷たく突き刺すような青の輝きが全体を明るくしています。
シンプルであるが故に、ある種の壮大さを持っており、絵は空間を埋め尽くしていますが、同時に硬直もし、かつ、その暗さは動きを持っています。
更に、フードの先端は繊細に描かれており、頭部を長くしたり狭くしたりする事で、微妙に軸をずらしています。
この様に描かれたドミニク叔父さんからは、無骨で確信に満ち、かつ、激しさと獰猛さが感じられます。
セザンヌは、母の弟であるドミニク叔父さんを修道士に扮して描くことで、孤独と肉体を表現しようとしたのでした。
ニューヨークのメトロポリタン美術館所蔵
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