オーヴェールの教会  ファン・ゴッホ



オランダのポスト印象派の画家、フィンセント・ファン・ゴッホの作品です。
ゴッホは、フランスのオーヴェール=シュル=オワーズで、精神病の治療・療養を行い、人生の最後の二ヶ月間を過ごしました。この地で描いた作品は80点余り。本作はその中の1点でです。
ゴッホならではの色彩的対比と最晩年期のやや長めで直線的な筆使いが楽しめる作品です。
それでは具体的に観て行きましょう。
渦巻いた深い青色の空を背景に、逆光の影の中に沈む重量感に溢れるオーヴェールの教会。そこには、何者をも寄せ付けぬような、不気味な雰囲気を醸し出しています。
教会は、ほぼ正確に描かれているものの、波打つように激しく歪んでおり、近寄りがたい異様な様子が強調されています。
これらは、ゴッホの不安と苦痛に満ちた病的な心理・意識世界の反映でもあり、かつ、画家として技術的・表現的な革新性を見出したゴッホの極めて個性的な対象表現でもあります。
また画面中央から上部へは、まるで教会が邪悪なエネルギーを放出しているかのような暗く重々しい色彩を、そして、下部へは、大地の生命力を感じさせる明瞭で鮮やかな色彩が配され、その色彩的対比はゴッホ作品の中でも秀逸の出来栄えと言われています。
さらにゴッホ最晩年期の筆触の大きな特徴である、やや長めで直線的な筆使いと共に、本作品の精神的迫真性は圧巻です。
オルセー美術館所蔵。
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