アルルの夜のカフェにて(ジヌー夫人) ポール・ゴーギャン



フランスのポスト印象派の画家、ポール・ゴーギャンの作品(1888年)です。
ゴーギャンがアルル滞在期に描いた絵画の代表作品の一つで、ファン・ゴッホの二つの作品「アルルの女(本を持つジヌー夫人)」と「夜のカフェ」からの引用により作成されています。
それでは具体的に観て行きましょう。
手前のモデルは、カフェ・ド・ラ・ガールの主人の妻マリー・ジヌーです。
妻マリー・ジヌーの姿はファン・ゴッホの「アルルの女(本を持つジヌー夫人)」を、本場面の舞台となるカフェは「夜のカフェ」を引用しています。

画面右側に配されるジヌー夫人の姿は、薄く柔らかい笑みを浮かべながら、やや気だるそうにテーブルへ肘を突きながら座っています。その背後には一台のビリヤード台が配され、画面奥のカフェに集う客や娼婦らとの関係性を保っています。画面左側からは青白い煙草の煙がたなびき、夜のカフェの独特の雰囲気を強調する効果があります。
ゴッホの作品ではゴッホ自身の孤独な感情や心理を対象に重ね表現されていますが、本作からは感じられず、むしろ対象と一定の距離感を保つことで、絵画としての調和と均衡を保っています。
本作から、ゴッホが感情的な人間で絵画に対しても同様のアプローチを行っていたのに対し、ゴーギャンが基本的に客観的なアプローチを行うという根本的な違いが見て取れます。
モスクワのプーシキン美術館所蔵
<MAP>

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