アルルのダンスホール ファン・ゴッホ



オランダのポスト印象派の画家、フィンセント・ファン・ゴッホの作品です。
本作は、南フランスのアルル滞在時に、ゴーギャンと共に共同生活を送りながら制作した作品のひとつです。その頃、ゴッホとゴーギャンは、互いの芸術に対する態度や視点の違いにより、やや関係が悪化していました。本作からは、ゴーギャンへの理解と歩み寄りを示す為、ゴーギャンの絵によく見られるクロワゾニスム(※1)的表現を取り入れています。
それでは具体的に観て行きましょう。
本作の題材は、フォリー・アルレジエンヌ劇場に於ける祝祭の夕べの情景です。
画面の手前から奥にかけて無数に描き込まれる人々は、ひしめき合う様に踊りに興じており、退廃的です。人々の姿も、一方では流行の衣服に身を包み、また一方では伝統的な衣服を着こなすなど多様で混沌としています。
そして、ゴーギャンへの歩み寄りとして、クロワゾニスムの太く暗色の輪郭線を用い、描写される人々は線と色面とが強烈に誇張させ、装飾的に表現されています。
更に、フォリー・アルレジエンヌ劇場の奥や二階への無数の人々は、原色の円で表現される黄色の光と効果的に呼応させています。奥行きを感じさせない平面性や日本趣味的な水平と垂直の強調、毒々しい印象すら抱かせる独自の奇抜で原色的な色彩には、ゴッホの個性が滲み出ています。
オルセー美術館所蔵。
※1:クロワゾニスムとは、 モチーフを単純化し、太い暗色の輪郭線で濃淡のない平らな色面を囲う絵画表現手法です。ゴーギャンの絵によく見られる特徴です。
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