鉄道 エドゥアール・マネ



印象派の創設に影響を与え近代美術の父とも呼ばれる、フランス画家エドゥアール・マネの作品(1873年頃)です。マネは1874年のサロンへ4点出品しています。その内の2点が入選、本作はその一つです。
それでは具体的に観て行きましょう。
本作の舞台は、パリのサン=ラザール駅です。線路脇の建物の庭から駅構内の方を眺める構図で、背景に線路の向こう側の建物やヨーロッパ橋の一部が見えています。鉄道は、近代都市パリを象徴する新しいテーマでした。しかし、通過する汽車の存在は、白煙で暗示されるにすぎず、主人公として描かれているのは、鉄柵の手間の1組の母子です。
若い母親は、画題である鉄道とは無関係な読書をしており、その合間に目を上げてこちらを見たところです。膝の上では子犬が眠っています。この女性のモデルは、「草上の昼食」や「オランピア」でもモデルを務めたヴィクトリーヌ・ムーランです。少女は、母親が読書に熱中しているせいで、退屈して鉄柵の向こうのサン=ラザール駅構内を見ていることが読み取れます。母親の暖かそうな服装に比べ、娘は肩から両腕をさらしており、寒そうに感じられます。
マネの作品は、意味ありげなシチュエーションやモチーフでも知られていますが、ここでも少女の脇になぜか一房のぶどうが置かれています。昼下がりの日常的な光景に、駅や鉄道という近代化のシンボルを織り込み、そこに小さな謎をスパイスのように効かせた本作は、マネの真骨頂を示す一枚といえます。
ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵
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