兵士に侮辱されるキリスト エドゥアール・マネ



印象派の創設に影響を与え近代美術の父とも呼ばれる、フランス画家エドゥアール・マネの作品(1865年頃)です。マネ最大の問題作「オランピア」と共に1865年のサロンへ出品された作品で、注目点は、各登場人物に注力した扱いと、その表現にあります。
それでは具体的に観て行きましょう。
本作は新約聖書に記される「キリストの嘲笑」を題材に制作された宗教画です。キリストは、とても人間的で弱く描かれ、もはや自分の運命を自分で決めることができません。キリストの視線は父なる神の住まう天上へと向けられていますが、キリストの周囲にはユダヤ人やローマ兵たちが配され、キリストに侮蔑の言葉や嘲笑を浴びせています。
本作の注目すべき点は、各登場人物に注力した扱いと、その表現にあります。
背景を黒一色で統一することで、登場人物以外の要素を除外し、観る者の視線を登場人物へと集中させています。キリストと3人のユダヤ人やローマ兵たちには宗教的な意識は殆ど見出すことができず、まるで当時マネが描いていた肖像画の人物像がそのまま描き込まれているかのような、ある種の近代的生々しさに溢れています。
また構図や構成を観察すると、ティツィアーノの同主題の作品や、ヴァン・ダイクの「茨の冠のキリスト」の影響が随所に感じられるものの、大胆に画布の上へ乗せられる絵の具や、力強さを感じさせる肉厚の筆触などに、マネの個性を感じることができます。
アメリカのシカゴ美術研究所所蔵
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