ピエタ ミケランジェロ・ブオナローティ



盛期ルネサンスの三大巨匠の一人、 ミケランジェロ・ブオナローティの初期の傑作(1499年頃)です。本作はサン・ピエトロ大聖堂所蔵の大理石彫刻の一つで、「ピエタ」を題材とする作品の中でも第一に挙げられるものです。古典的な調和、美、抑制というルネサンスの理想の最終到達点ともいうべき完成度を誇り、ミケランジェロの数多い作品の中でもとりわけ洗練され精緻を極めたものと言われています。
それでは具体的に観て行きましょう。
主題は中世~ゴシック期より最も特徴的で広く一般に普及した祈念像「ピエタ」です。このピエタとは憐憫や敬虔の意味を持つラテン語から発生したイタリア語で、キリストとその死を嘆く聖母マリアの姿を指します。ゴシック期以降は彫刻の他、絵画などを含む図像の総称として、この名称(ピエタ)が使用されるようになりました。
本作を観ると、構図はルネサンス美術に典型的な三角形の構図を取っており、聖母マリアの頭を頂点としながら、底辺となる台座(ゴルゴタの丘)に向かって他の二辺となる聖母マリアのドレスの襞が徐々に広がってゆくことで三角形を形づくるようになっています。この三角形の上に、座っている聖母マリア(垂直方向)と横たわるキリスト(水平方向)を直交させて重ねるというのがミケランジェロのアイディアです。しかし、ピエタにおいてキリストを聖母マリアの膝の上に載せて描くのは絵画においては珍しくないが、彫刻においては困難であり、キリストが聖母マリアにもたれかかるような形をとることが多い。それは成人男性であるキリストの頭や足は当然聖母マリアの膝からはみ出ることとなり、その大理石の重さを支えるものがなくなるという力学的な理由からでした。それをミケランジェロは、聖母マリアのドレスを、三角形を描くという審美的な役割だけでなく、横たわるキリストの頭や足を支えるという物理的な役割をも果たすことで、解決したのでした。
ミケランジェロは、バッカス像とこのピエタの成功により名声を得て、芸術家としての地位を不動のものとするきっかけとなりました。多くの彫刻家が制作したピエタですが、弱冠23歳のミケランジェロが制作したピエタは、死せる息子キリストを抱える聖母マリアの悲しみに満ちた表情や筋肉や衣服の細密な描写など、それまでに彫刻されたピエタの表現を遥かに超えたものでした。
バチカンのサン・ピエトロ大聖堂所蔵。
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