バルダッサッレ・カスティリオーネの肖像 ラファエッロ・サンツィオ



古典主義絵画の祖でイタリア画家、ラファエッロ・サンツィオの作品(1515年頃)です。
外交官で人文主義者のカスティリオーネとラファエッロは親密な関係にあり、ラファエッロは、カスティリオーネの理念や思想を良く理解していました。
それでは具体的に観て行きましょう。
本作はカスティリオーネが持っていた理念や思想を、理想像として肖像画の中に描き込んだ作品です。黒、灰色、白の各色の間に見られる、この衣服のもつ控えめな調和は、明るく暖かみのある淡い灰褐色の背景へと続いており、その背景を満たすぼんやりとした光の中には、右手にモデルの影がかすかに滲んでいます。
絵の全体は細い黒の帯によって縁取られていますが、その帯は、わざと手の部分を切り取り、観る者の注意を顔と、その青い力のこもった眼差しへと引きつけることで、作品の境界を画しています。
右下隅には肘掛け椅子の一部が簡単に描かれ、そこに座ったカスティリオーネの上半身は斜め左前から捉えられており、その姿勢や、観る者の方へ向けられたその視線、前景で組み合わされた両手、柔らかな光を帯びた肖像の外観は、「モナ・リザ」に対する賛辞であると言われています。
ラファエッロは、レオナルドがフランスに発つ前にローマに滞在していた時期に「モナ・リザ」を見ていたものと思われますが、これら二つの作品における雰囲気、二つの肖像画における二人の画家の願望は、根本的に異なっています。この等身大の肖像画の見事な近代性を作り出しているのは、何にも増して、その姿態のもつ自然さ、瞬間性、直截さ、自由さであり、そしてその生き生きとした表情なのです。
ルーブル美術館所蔵。
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